Dentalism 26号
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口腔機能障害口腔機能低下症オーラルフレイル歯科診療所での対応専門的な対応地域保健事業・介護予防による対応アプローチポピュレーション意欲低下・うつ社会性・生活の広がり低下嚥下機能低下EAT-10合計点数:3点以上低舌圧最大舌圧:30kPa未満(JMS舌圧測定器)咀嚼機能低下グルコース濃度:100mg/dL以下(グルコラム)口腔乾燥口腔水分計:27.0 以下(ムーカス)咬合力低下咬合力:200N未満(デンタルプレスケール)舌口唇運動機能低下オーラルディアドコキネシス:6回/秒未満口腔不潔総微生物数:6.5Log10(CFU/mL)以上(細菌カウンタ)噛めない食品増加わずかのむせ・食べこぼし滑舌低下歯の喪失う蝕・歯周病口腔リテラシー低下 (口腔への関心度)咀嚼障害摂食嚥下障害 Dentalism 26 SPRING 2017 28 日本老年歯科医学会は、歯科領域における高齢期の疾患として新たに「口腔機能低下症」の概念と診断基準をまとめ、11月22日に公表した。新規の病名を用いることで、う蝕や歯の欠損に対する治療だけでなく、咀嚼や嚥下を含めた口腔機能の低下に早期介入、治療ができるようにするのが目的。同学会学術委員会委員長で東京医科歯科大学大学院高齢者歯科学教授の水口俊介氏は「まだ診断基準の確立に向けてスタート地点に立った段階。最終的には口腔機能低下症で保険収載ができるように、介入効果のエビデンスを収集していきたい」との見解を示した。診断基準に7つの症状 口腔機能低下症とは、健康な状態から口腔機能障害に至るまでの間と位置付けられ、滑舌の低下や食べこぼし、噛めない食品が増えた状態のオーラルフレイルよりもさらに機能低下が進行した状態を指す(図1)。 同学会では、オーラルフレイルに対しては地域保健事業や介護予防事業を通して高齢者を啓発し、口腔機能低下症の可能性がある場合には歯科医院の受診を勧め、より専門的な対応が必要な口腔機能障害への進展を予防するという対応策を設定した。 口腔機能低下症の診断基準は①口腔不潔②口腔乾燥③咬合力低下④舌口唇運動機能低下⑤低舌圧⑥咀嚼機能低下⑦嚥下機能低下の7つの症状のうち3つ以上を満たした場合とする。それぞれの概念は以下の通り。①口腔不潔:高齢者の口腔内で微生物が異常に増加し、誤嚥性肺炎、術後肺炎、術後感染、口腔内感染症などを引き起こす可能性がある状態②口腔乾燥:口腔内の異常な乾燥状態あるいは乾燥感を伴った自覚症状を指す③咬合力低下:天然歯あるいは義歯による咬合力の低下した状態④舌口唇運動機能低下:加齢や脳血管障害、パーキンソン病などの全身疾患によって、脳・神経の機能低下や口腔周囲筋の機能低下〈図1〉 「口腔機能低下症」の概念図日本老年歯科医学会理事長の櫻井薫氏(左)と同学会学術委員会委員長の水口俊介氏(右)(図1、3、4とも老年歯学 2016; 31: 81-99)新疾患概念「口腔機能低下症」日本老年歯科医学会が確立に向け見解が生じ、舌口唇の運動速度や巧緻性が低下し、摂食行動、栄養、生活機能などに影響を及ぼす可能性がある状態⑤低舌圧:舌を動かす筋群の慢性的な機能低下によって舌と口蓋や食物との間に発生する圧力が低下した状態で、進行すると咀嚼や嚥下に支障を来し、必要栄養量に見合う食物摂取ができない状態になる可能性がある

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