Dentalism 26号
28/36

Dentalism 26 SPRING 2017 26Medical Tribune紙:1968年にわが国で唯一の週刊医学新聞として創刊されました。各種医学会取材による最新医学情報をはじめ、専門家へのインタビュー記事、解説記事など、研究や日常診療に役立つ情報を提供しているジャーナル 2015年、これまで治療実態に応じた骨折の予防効果を大規模に検証してきた骨粗鬆症至適療法研究会(A-TOP研究会)により、顎骨壊死に関する緊急アンケート(A-TOP調査)の結果が報告された。しかし、対象者が少なかったため、その信頼性には若干の疑問が残った。そこで、松本歯科大学歯科放射線学講座教授の田口明氏は日本骨粗鬆症学会学会員の全医師を対象にアンケートを実施し、より妥当性の高い結果を示すとともに 、種々の回答項目から、顎骨壊死を防止するためには、よりいっそう医科歯科連携を強化する必要性があると訴えた。休薬しなかった群でも抜歯後の顎骨壊死はなし  A-TOP調査では、ビスホスホネート(BP)製剤やデノスマブなどの骨吸収抑制薬を抜歯前に休薬すると、顎骨壊死を予防することなく骨折リスクを上昇させ、骨粗鬆症治療を妨げる恐れがあることが示唆されたが、調査対象が206人と少数であったため、その妥当性には議論の余地が残されていた。今回実施したアンケートでは、A-TOP調査の3倍を超える629人から有効回答を得た。回答者の診療科は約74%が整形外科、約13%が内科であり、この割合はA-TOP調査とほぼ同様であった。 アンケート結果によると、骨吸収抑制薬による治療中、抜歯前に歯科医師から休薬依頼があった場合は83・1%が休薬すると答えていた。休薬期間が3カ月未満の群と3カ月以上の群における骨折および顎骨壊死の発生率は、それぞれ約3・6%と0・7%、約5・3%と約1・6%であり、3カ月以上の群で骨折、顎骨壊死のリスクが高かった。また、休薬しなかった場合の抜歯の有無を尋ねる設問では、52・8%が抜歯を行っていたが、抜歯後の顎骨壊死は発生していなかった。一方、休薬後における骨粗鬆症治療の状況について問うと、16・8%で治療中止を経験していたという。歯科医師への口腔ケア依頼、医科歯科連携はいずれも低い割合 顎骨壊死の発生には口腔内に常在する放線菌が関与すると考えられていることなどから、口腔内衛生環境の管理も重要であるが、骨吸収抑制薬による骨粗鬆症治療前に歯科医師に対し口腔ケアを依頼しないと回答した医師が約60%に達していた。加えて、同抑制薬を投与している骨粗鬆症患者について、医科歯科連携がなされているかという設問に対しては、71・5%がしていないと回答した(図)。 以上の結果はおおむねA-TOP調査の結果と同様であったことから、田口氏は「A-TOP調査の妥当性が担保された」と述べ、「骨吸収抑制薬の休薬や治療中止により骨粗鬆症患者の抜歯が遅滞すると、口腔内の感染が拡大し顎骨壊死が増加する懸念がある。つまり今回のアンケートの結果は、医科歯科連携が不十分であると、感染症の感染源が放置され、顎骨壊死を引き起こす恐れがあることを示している」と警鐘を鳴らし、より緊密な医科歯科連携の重要性を訴えた。(Medical Tribune 2016年11月10日号6ページより転載)0255075100(%)A-TOP調査今回のアンケート無回答しているまたはしていない71.8%25.2%71.5%24.8%していないしている(田口明氏提供)〈図〉 骨吸収抑制薬を投与している患者に対する地域での医科歯科連携第18回日本骨粗鬆症学会 10月6日〜8日顎骨壊死の防止に向け医科歯科連携の強化が必要骨粗鬆症学会アンケート結果から

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る