Dentalism 26号
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です。診察を終えた研修医に患者さんの歯の状態を確認しても、まずチェックをしていません。歯の数なんて聞くとめちゃくちゃ言いますよ。僕だって4の倍数ぐらい?という認識しかなかった(笑) でも、歯科から医科に医科歯科連携の枠組みを提案した京都の南区は偉大ですよ。熱い先生方が多くて、あちらは歯科からの立ち上がりでしたからね。京都府歯科医師会に、山科歯科医師会で口腔サポートセンターを作って下さいとお願いに行った際も、南区に前例があったおかげでスムーズでした。――その後、ほどなく「京滋嚥下・課題と思っていたことが実は課題でも何でもなかったということです。歯科の先生方は「開業医の僕たち歯科医師に急性期病院で何ができるんだろう?」と思っていた。「全身管理もできないのに何ができるんだ」と言われると思っていたらしくて…。でも僕たちはそういうことは全然求めていないわけですよ。職種も違うし出来ることも違う。それより何より歯の問題で悩んでいるんだから教えて欲しい、医者は歯科の知識は何も持っていませんとお願いしました。歯科の先生からは「何も知らないという医者に初めて会った」と言われました。 やったことといえば、そのぐらい摂食を考える会」が発足するわけですが、そこではどのようなご苦労や困難が?荒金 医科歯科のコネクションができた後は、管理栄養士や言語聴覚士など、少しずつ仲間を募っていきました。そこから先は医師会、歯科医師会、看護協会、栄養士会、言語聴覚士会、歯科衛生士会、介護支援専門員会などの職能団体をどうしようかという話になりました。結局、全部に僕が説明に行きました。しいて言えば、そこが少し大変でしたかね。 声をかけなきゃいけない人は誰と誰だとか、この人は私の方で何とかしますとか、酒飲み話をしながらの作戦会議は、まるでロールプレイングゲームのようでしたよ(笑) ラッキーだったのは、繋がる人がよかったこと。京都府医師会会長は自分が研修医時代にお世話になったつながりがあり、早々にご理解していただき、多くの支援をしていただけました。こうした各専門職能団体への根回しを背景に、医師会が音頭をとって各職能団体、病院施設団体、在宅関連団体が集まり、それまでバラバラだった嚥下食の基準について、多くの施設で参考にされている「嚥下食ピラミッド」を元に京都基準を作って下さいました。時流も「地域包括ケア」という言葉が出てきたりして予算がつくなど、タイミングも良かったのだと思います。 ――多職種協働、地域包括については地域によっても取り組みに差がありますし、仕組みを語る人はいても、実態が伴わないというケースもあるように思います。先生が特に留意された点は何でしょうか。荒金 専門ではない人間でも気軽に使え、地域の実情に応じた継続的な仕組みやアプローチをどう構築するかではないでしょうか。 実際、病院で工夫を凝らした食支援を頑張れば頑張るほど、在宅での継続が困難となり患者さんが退院しにくくなるという問題が生じました。山科区では食支援をする専門職が活躍する環境が整っていませんでした。そこで山科医師会を中心にして京都府栄養士会、京都府薬剤師会山科支部、山科口腔サポートセンターが合同で「地域ケア愛ステーション」を作りました。これにより訪問管理栄養士が地域で活動ができるようになりました。嚥下食の京都府基準で作成された連絡票をもとに、在宅に入っていく人の食事形態を調整していただいたり、家で作るときにはどうしたらいいのかをサポートしていただくことが可能となりました。 今は老々介護が増えていますが、点滴や胃瘻をしながら自宅に戻る患者さんの場合、重い栄養剤をどうやって持って帰るかというような問題には、訪問薬剤師さんが活躍できるようになりました。栄養剤や周辺器具、おむつなどの衛生物品などを全てパッケージし、家の環境に合わせた形で提供のサポートをしていただいています。こちらも元々、薬剤師さんで(訪問を)やりたいという人はいたのですが、どうやって医師に伝えればいいのかが解らなかったというのです。今は薬剤師会がそういう人たちを繋ぎ、フォローして下さっています。 病院では出来ても、家の環境で出来ないことはまだまだあります。そうしたことを地域の様々な分野の専門職の人たちと一緒になって考えてもらっています。嚥下食でとろみをつけるといっても、どれぐらいがいいのか、初めて作る人はわからないですし本人の好みもある。どう調整すればいいか、多くの地域の専門職が相談にのってくれますし、すごく助かっています。19 Dentalism 26 SPRING 2017

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