Dentalism 26号
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のオフィスにも行き、プライベートレッスンを受けました。とても使いやすかったので、Kerrの社長に日本にも入れて欲しいとお願いしました。それまでは「ポイント4」という自費のレジンがあり「プレミス」も自費でという話もあったのですが、あえて保険で36色フルカラーを入れて欲しいと懇願したんです。そうしたら帰国後にカタログ用の写真を撮ることや、講演することと引き換えに保険で入れてもらえることになったんです(笑) 当時、コンポジット素人だった僕が使いやすいと言ったのも決め手の一つだったと思います。 そこから日本の歯科は保険でもデンチンレイヤーとエナメルレイヤーでかつ、フルカラーを使うことができるようになりました。それまで保険はワンレイヤーでいいと言われていたけれど、それでは世界から置いていかれると思った。そこからコンポジットレジンとデンチャーの二足のわらじを履き始めるようになりました。最近はパーシャルデンチャーの講演依頼も多く、近い将来にはクラウンブリッジの講演もする予定です。審美でどこまでできるかのコースは、むしろぺリオのコースや技工士のコースだと考えているので、形成などの基本コースです。 また、僕は吸着という概念は遠い昔に捨てました。全部床義歯の維持は面着が基本ですから。吸着というのは床と粘膜の間に隙間が存在し、そこに引圧が発生した時に出現するものです。そしてそこに引圧がかかると、うっ血するか貧血になり、骨や歯肉がターンオーバーするために必要な赤血球が入ってこなくなる。吸着は最初はいいかもしれないけれど、半年後にどうなるか、僕はいやというほど経験しました。  1998年から講演を始めていますが、1995年には義歯が吸いつくという理論構築は終わっていて、その当時は吸着が主流でした。でも、最初は激しく吸着するのに、なぜ半年後に崩れるのか。自分の中で悩みがあった。骨ができてガタガタするのではなく、骨が壊れてガタガタするのです。ということは骨が吸収しているということ。これは私たち歯科がやるべきことなのかという疑問を持ち、患者さんのための治療について追及するようになり面着という技術に落ち着きました。 総義歯は、咬合の大切さをしっかり伝えていかなければいけません。歯科は、歯を抜こうがエンドやぺリオをしようが、義歯を作ろうが、すべて最後は噛み合わせを治すんですから。――コンポジットレジンの講演は、総義歯で知られるようになった後で行うようになったようですが、何かきっかけがあったのでしょうか。松本 サイブロン・デンタル(Kerrデンタル)で、青島先生や大谷先生がやって下さっている「プレミス」というレジンがありますが、それを日本に紹介するために講演したのが最初でした。それ以前のレジンは、一つの透過性特性レジンしかなく、詰めて終わりだから色が合いませんでした。デンチンレイヤーとか、エナメルレイヤーという概念もなかった。トランスも当然なかった。それで僕は審美を勉強したい、アメリカで学びたいと思っているという話を、たまたまKerrデンタルの担当者と話していたところ、旅費の負担はできないけれどバンクーバーで開催されるAACD(American Academy of Cosmetic Dentistry)の展示会でDr. Douglas A. Terryのところに連れて行ってくれるという話になったんです。Dr. Douglas A. Terryは、その後、僕の審美の師匠となった唯一の学術の師匠です。Kerrデンタルの社長と一緒に行った展示会では、プレミスがちょうど初展示され、Dr. Douglas A. Terryはそれを使って講演していました。僕は彼 Dentalism 26 SPRING 2017 8

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