Dentalism 25号
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大阪大学大学院薬学研究科東阪和馬 助教■金属ナノ粒子が金属アレルギーの発症原因である可能性金属アレルギー発症原因の解明へ。世界初、マウス実験モデルを確立。 ピアスやネックレス、時計などの装着により起こる金属アレルギー。歯科領域でも詰め物や被せ物、ブリッジ、入れ歯などの金属が原因となり皮膚炎などを引き起こすという症例が多数ある。そんな身近な疾患であるにもかかわらず、その疾患発症メカニズムは解明されていなかった。そんな中、大阪大学大学院薬学研究科の堤康央教授、東阪和馬助教、吉岡靖雄准教授(現 微生物病研究所)、平井敏郎博士らの研究グループは、金属アレルギーの発症において、これまで原因と考えられてきた金属イオンではなく、生体内外で自然発生する金属ナノ粒子が引き金となり発症しえることを発見。マウス実験モデルの確立に成功したと発表した。 研究グループは、金属から金属イオンのみならず金属ナノ粒子が自然発生するという報告に着眼し、金属ナノ粒子と金属アレルギー発症の関連を評価。その結果、マウス実験において、金属ナノ粒子を投与することで、投与金属に対する強い特異的免疫応答が誘導されることが明らかとなった。また、金属イオンと比較して、金属ナノ粒子は高い割合で所属リンパ節に移行、滞留したうえで金属イオンを放出し、Th17性の免疫応答を活性化させることで、金属アレルギーを誘導するという。 この研究結果は、金属アレルギー発症のメカニズムの解明に向けた前進であることは間違いない。また、金属アレルギーの予防や治療法の開発、ひいては安全な金属ナノ粒子の開発につながると期待されている。 急速に普及している歯科用インプラントだが、その反面、インプラント周囲炎のトラブルが多発している。その数は治療を受けた患者の4割にものぼるとの報告もある。複合細菌感染症としての病態は歯周炎と類似しているが、インプラント周囲炎の方が進行が早く治療が難しい。口腔内に存在する細菌は培養が難しいものも多く、多くの細菌種がその発症や進行に関わると推測され、インプラント周囲炎の治療法が未だ確立されていないのが現状だ。 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野の和泉雄一教授らの研究グループは、京都大学大学院医学研究科微生物感染学分野との共同研究で、インプラント周囲炎と歯周炎の原因細菌叢を解析し、それぞれの疾患における特徴を明らかにした。研究グループは、インプラント周囲炎と歯周炎の両疾患に罹患した成人を対象に、歯およびインプラント周囲からプラークを採取し、細菌RNAを抽出。その後、次世代シークエンサーを用いて得られた遺伝子情報をもとに、両疾患に関わる細菌種の同定とその細菌叢の持つ機能を解析した。 その結果、インプラント周囲炎を引き起こす細菌叢は、歯周炎のそれと比べ、構成する細菌種やその比率、活動性の高い細菌種が異なることが判明。これが、歯周炎と同じ治療法を用いても奏功しない理由の一つであることが考えられるという。インプラント周囲炎に特徴的な細菌の群集構造が明らかになったことで、現行の治療法の見直し、新たな治療の確立につながるのではないだろうか。インプラント周囲炎の治療法の確立へ。原因となる細菌群集構造を解明。金属アレルギーの発症には、金属イオンではなく、金属ナノ粒子が引き金となり得ることを見出すとともに、ヒト金属アレルギー病態と一定の免疫学的共通性を有する金属アレルギーモデルを初めて確立した。15 Dentalism 25 WINTER 2016

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