Dentalism 25号
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脳活動から噛み合わせの違和感を可視化。ODS患者の診断に有効な技術を開発。 噛み合わせ自体には医学的な問題がないにもかかわらず、心理的なストレスなどが原因で、噛み合わせに強い違和感をおぼえる「咬合違和感症候群」(ODS)。ODS患者の口腔の違和感は、原因となるストレスの解消によってのみ緩和され、歯科的な治療では症状が改善せず、かえって悪化することが多い。一般的な歯科治療で改善する患者なのか、歯科治療を行ってはいけないODS患者なのか。これを定量的に診断する手法はこれまでなかった。 そんな中、明治大学理工学部電気電子生命学科の小野弓絵准教授は、神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔機能修復学講座の玉置勝司教授、宗像源博講師の研究グループと共同で、脳活動からかみ合わせの違和感を可視化し、ODS患者かどうかを精度よく推定する手法を開発した。研究グループは歯を噛み合わせるという行為に対して強い注意が引き起こされるODS患者の特性に着目。脳の活動を計測する近赤外分光法を用いて、歯を噛み合わせた際の能動的な注意によって引き起こされる脳活動を検出。その結果、ODS患者と非ODS患者での違いが明らかとなった。そこで、脳活動波形の変化量からその患者がODSであるかないかを判定させる識別器を作成。92.9%の正確さでODS患者を識別することに成功した。 この技術は、歯科医師にとって定量的なODSの診断基準をもたらすと同時に、不要な歯科治療によるリスクを低減させることができる。また、ODS患者にとっても、脳活動を視覚化して捉えることで、違和感の原因が理解しやすくなることは間違いない。適切な治療への移行、ひいては医療費の削減、QOLの向上につながることが期待される。明治大学理工学部 電気電子生命学科小野弓絵 准教授■ODS患者と非ODS患者の脳活動の違い脱酸素化Hb濃度変化時間(秒)①口を閉じる②歯を噛みあわせるODS非ODS02040 う蝕や歯周病の予防に効果があるとされ、歯科業界でも推奨されてきたデンタルフロス。しかし、アメリカAP通信による調査で、その効果を裏付ける十分なエビデンスがないということがわかった。AP通信は過去10年間に実施された25件の研究データについて調査。その結果、どの研究もデンタルフロスの効果を実証するエビデンスが弱く、バイアスが生じている可能性も高いと発表した。 アメリカ政府は1979年より口腔健康を維持するためにデンタルフロスを推奨するという見解を示し、食生活に関するガイドラインにも掲載してきた。しかし、この調査を受けてか、保健福祉省、農商務省は改訂版の食生活方針よるデンタルフロスの項目を削除している。 アメリカ歯周病学会は、デンタルフロスの効果に科学的根拠が乏しいことを認める一方で、「歯ブラシだけでは歯間部の汚れを十分に取り除くことができない」と、歯ブラシとデンタルフロスの併用を推奨。またアメリカ歯科医師会は、研究の対象者を含め多くの人がデンタルフロスを正しく使用していないからだと指摘している。 もちろんAP通信の記事は、デンタルフロスの効果を否定しているわけではなく、それを証明する論文の疫学的根拠が低いと言っているにすぎない。実際、効果を実感しているという使用者も多数存在し、使用している歯科医師が多いことも事実だ。ただし、科学的な根拠が不足していることは確か。今後の検証が求められる。デンタルフロスのう蝕、歯周病予防効果。エビデンスが実証されていないと判明。 Dentalism 25 WINTER 2016 14

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