Dentalism 24号
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図8~図11:445nm、1W CWによる下顎歯列弓の色素除去の術前(図8)、術直後(図9)、術後1日目(図10)、術後1日目の31番・41番間のレーザー粘膜剥離(図11)29非剥離法による歯肉のメラニン色素除去図8図12図9図13図10図14図11図15■結果 本症例では、下顎右側前歯1番と2番の間の1点(図9)を除き表面粘膜剥離の徴候はなく、粘膜がピンク色に変色した。表面下の血管凝固により外観がピンク色となった。麻酔効果の消失後、約1時間にわたり非常に軽度の術後不快感が発生した。不快感は速やかに消失したので、鎮痛薬は不要であった。 術後1日目の写真撮影時に、下顎左右前歯1番の間にレーザーによる粘膜剥離が認められた(図10、図11)。術後3日目に患者が撮影した写真では、レーザー剥離は消失して歯肉粘膜の新生が認められた(図12)。術後2週目には歯肉粘膜が完全に回復し、メラニン色素沈着は認められなかった(図13)。■考察 この新しい波長については十分な情報がなかった。図7から、ヘモグロビンの吸収係数は7×102/cm-1 、メラニンの吸収係数は103/cm-1と推定された。この波長のヘモグロビンへの深達度は140μm、メラニンへの深達度は10 μmと算出された。810nmのヘモグロビンへの深達度は2mm、メラニンへの深達度は0・1mmである。さらに、散乱曲線から445nmは810nmに比べて組織散乱効果が小さいことが示された。 445nmは散乱効果が小さいことに加えてヘモグロビンとメラニンへの吸収性が高いことを考慮し、1W CWを用いた。距離2mmにおいてフルエンス88J/cm2を与えるパワー密度が88W/cm2と算出された(図14)。810nmでのフルエンス543J/cm2、パワー密度1,697W/cm2(図15)は445nmに比べて高いが、術後8年目で歯肉は退縮せずカントゥアが安定していた(図6)。臨床医が所定の治療成績を収めるには、波長の光学的性質、パワーパラメーター、レーザー組織相互作用を理解することが重要である。■結論 1W CW 445nm青色ダイオードレーザーは口腔粘膜の非剥離性の色素除去に有効である。この非剥離法は手技の所要時間が非常に短く、迅速に審美的な結果をもたらす。筆者の知る限り、本症例は445nmによるメラニン色素除去の初の報告例である。図12:術後3日目(患者が休暇中に撮影)図13:術後2週目810nm445nma=2mmファイバーNA(光学定数)=0.22a=arcsin NA =12.7d=300μmスポットサイズ=2xb+d2x(tan a x a)+d=1.2mma=2mmファイバーNA(光学定数)=0.22a=arcsin NA =12.7d=600μmスポットサイズ=2xb+d2x(tan a x a)+d=1.2mmパワー密度(W/cm2)=1W÷スポット面積=1÷π(0.12/2)2=88W/cm2パワー密度(W/cm2)=30W÷スポット面積=30÷π(0.15/2)2=1697W/cm2照会先Dr. Kenneth Luk502, Winway Building,No. 50 Wellington Street, Central, Hong KongTel.: +852 2530 2837laserdontic@me.com編注:参考文献一覧は出版元より入手可能。Dr. Lukは申告すべき利益相反はない。

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