Dentalism 24号
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14歯が19本以下で痩せのリスクが1.5倍。残存歯数が高齢者の体重減少、痩せに関連。手術不要の注射による顎骨造成が成功。患者の負担を軽減する治療法の開発へ。 高齢期における体重減少や痩せは、死亡や要介護のリスクを高める。歯の本数が19本以下の高齢者は20本以上ある人に比べ、体重減少や痩せた状態になりやすい。そんな研究結果が浜松医科大学 健康社会医学講座の中村美詠子准教授らによって発表された。 中村准教授は、共同研究グループの「日本老年学的評価研究」の2010年調査データを活用し、全国31市町村の65歳以上の男女約10万人を調査。歯の喪失状態と、魚、肉、果物、野菜などの食品の摂り方が、体重減少や痩せとどのように関連しているかを調べた。 その結果、男女ともに65歳以上の約3分の2が残存歯数19本以下。最近6カ月間に、2〜3キロの体重減少があったとする高齢者は「19本以下」が 歯が抜けたり、合わない入れ歯を長年装着していたりすると顎の骨が少なくなり、安定した咬み合わせを保つことができなくなってしまう。しかも、顎の骨が少ないと人口歯根も植えられない。また、口蓋裂など生まれつき骨が足りない子どもには骨の移植が必要となる。このため歯科臨床では、顎の骨を造成する方法が数多く開発されてきたが、現状では手術をせずに骨造成を促進させる方法は見つかっていなかった。 そんな中、東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 硬組織薬理学分野の青木和広准教授のグループと京都大学再生医科学研究所とアメリカのCedars-Sinai研究所との共同研究により、これまで困難とされてきた口の中への注射により、顎の骨を造成させることに初めて成功したと発表した。 研究では、薬剤を注射した局所に留めておく目的ですでに臨多く、そのリスクは「20本以上」より1.2倍高かった。また、体重減少のなかった高齢者について、BMIが18.5未満の痩せのリスクを調査。その結果、残存歯19本以下の男性が痩せているリスクは約1.5倍だった。女性では、残存歯が19本以下であることは痩せのリスクにならなかったが、19本以下で、果物や野菜を毎日摂取していない人は痩せているリスクが1.2倍にのぼったという。 これは歯を失うことで十分に食事ができず、必要な栄養を摂取できないことが要因と考えられる。そのため、毎日の適切な口腔ケア、定期的な歯科健診や歯の治療を行い、歯の喪失を防ぐこと、すでに残存歯が少ない場合には、調理法を工夫するなどして、十分な栄養を摂ることを推奨していかなければならない。床応用されているゼラチンハイドロゲルを用いて、ペプチドOP3-4(破骨細胞分化因子RANKLの作用を阻害)とを組み合わせた薬剤をマウスの上顎に注射。すると4週間後、注射した部位に明らかな骨造成が認められた。副作用を考慮し、使用量を抑えたBMP-2のみでは十分な骨は造成されなかったが、少量のBMP-2にペプチドOP3-4を併用すると、骨の量が倍以上に増えたという。 この研究結果は、手術でしか骨を増やすことができなかった歯科臨床において、患者にそれほど負担をかけずに骨を増やすことができる技術開発に向けて大きな前進だ。顎の骨が少なく入れ歯が安定しない場合、顎の骨が少なくインプラントが植えられない場合、顎の骨が少なく移植しなければならない場合などの症例において、多くの臨床現場に応用可能な骨造成方法の開発が期待される。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科青木和広 准教授浜松医科大学 健康社会医学講座中村美詠子 准教授■マウス上顎骨に薬剤を注射して4週間後の像上顎骨の立体像骨造成部位における横断像(黄色の矢頭は造成した骨を示す)薬剤なし薬剤あり■残存歯と体重減少のリスク20本以上19本以下男性女性1025%リスク上昇24%リスク上昇■残存歯数と痩せのリスク20本以上19本以下1047%リスク上昇残存歯が19本以下の人は、20本以上の人と比べ、最近6カ月において、2~3kgの体重減少のリスクが男女ともに約1.2倍になった。最近6カ月間に体重減少のない人に限った分析によると、残存歯19本以下であることは、男性の痩せ(BMIが18.5kg/㎡未満)のリスクを約1.5倍高めていた。一方、女性では残存歯が19本以下であることは痩せのリスクにつながっていない結果に。男性女性オッズ比オッズ比

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