Dentalism 24号
15/36

13 近年、様々な研究結果から、歯周病が多くの疾患に影響を及ぼし、その発症や進行のリスク因子になることが明らかになっている。『サンスター』では、歯周病が重症化するとどのように全身の健康に悪影響を及ぼすのかを、細胞レベルのミクロの世界で起こる体内の反応をもとに科学的に解き明かすCGアニメ動画を製作。6月3日よりインターネットで公開し、話題となっている。 動画では、歯周病菌が血管を通り全身に流れると体内で様々な炎症反応が起こり、血管内皮の破壊や血栓の形成につながることで動脈硬化の原因となる様子を紹介。また、全身性の炎症によって糖の細胞内への取り込みを調整するインスリンの働きが妨げられ、2型糖尿病における血糖コントロールに支障をきたす様子も描かれている。さらに、糖尿病が進行し、増加した血中のブドウ糖が赤血球のヘモグロビンやタンパク質に結合すると、酒を飲んですぐ赤くなる人は注意。喉や食道のがんになる可能性が高い!? 飲酒によってすぐ顔が赤くなる。愛知県がんセンター研究所の松尾恵太郎研究部長らの研究によると、このような人が大量に飲酒を続けると、喉や食道のがんになる可能性が高いという。同研究所の過去の研究では、すい臓がんになるリスクも高まったというデータもある。 研究では、がん患者1300人とがんではない人たち1900人を対象に、飲酒、ALDH2遺伝子型、喫煙、年齢、性別の情報を用いて上部気道消化器系がんのリスク予測式を作成し検証。また、飲酒とALDH2遺伝子型の組み合わせ別にがんの生涯リスクを算出した。このALDH2は、アルコールの代謝で生ずるアセトアルデヒドを酸化する酵素であり、人それぞれの酒に強い・弱いはこの酵素の遺伝的多型に大きく依存して影響されている。 分析の結果、下戸ではないが酒が飲める遺伝子型を持つ人の場合、46g以上の酒を週に5日以上摂取すると、80歳時のがんリスクが20%以上であることが示された。これは5人に1人の確率だ。赤くならない人が同じ量を飲み続けてもがんになる確率は約3%で、赤くなる人の7分の1しかなかった。 飲酒で顔が赤らむフラッシング反応は、アセトアルデヒドの作用によるもので、二日酔いの原因ともなる。ALDH2低活性型の人はアセトアルデヒドが体内で分解されにくく長く留まってしまう。自分の遺伝子型を知り、飲酒の量や飲み方を変えることで、がんのリスクを軽減できるかもしれない。愛知県がんセンター研究所松尾恵太郎 研究部長■「細胞間コミュニケーション 口腔の健康と全身疾患 ~歯周病とアテローム性動脈硬化、糖尿病との関連性~」『サンスター』がCGアニメ動画を公開。歯周病が全身の健康を脅かす仕組みを解説。結果的に組織修復や創傷治癒の機能が妨げられ、炎症性物質が産生されることで歯周病の発症や歯周組織の破壊につながる様子も紹介。歯周病と全身疾患の関連性を細菌や細胞など生体分子レベルでの体内の反応を解説している。また、歯周病の治療を行うことで血管内皮機能や血糖値が改善する事例なども見ることができる。 世界の著名な歯周病の専門家の科学的な知見に基づいて製作されたこのCG動画。このように様々なかたちで口腔健康の大切さ、歯周病の怖さを周知していくことは重要だろう。http://www.sunstar-foundation.org/education/about/0510152025■遺伝子型、飲酒量と 上部気道消化器系臓器に起きるがんの累積リスク(%)お酒を飲んで赤くなり、飲酒量が多いお酒を飲んで赤くなり、飲酒量が中等量年齢:(歳)80歳で20%80歳で4.5%75〜7970〜7465〜6960〜6455〜5950〜5445〜4940〜4435〜3930〜3425〜2920〜24累積罹患リスク(%)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 15

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です