Dentalism 24号
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9Prole 伊東隆利(いとう・たかとし)1942年熊本県出身。1968年日本大学歯学部卒業。1972年鹿児島大学大学院医学部研究科(口腔外科)修了。鹿児島大学医学部口腔外科学講座助手。1975年鹿児島大学医学部口腔外科学講座講師、伊東歯科医院勤務。1991年伊東歯科医院院長。2009年~2013年伊東歯科口腔病院院長。2013年医療法人伊東会理事長。2014年日本歯科医師会会員有功章受賞。2015年春の叙勲旭日双光章受賞。■伊東歯科口腔病院熊本県熊本市中央区子飼本町4-14=096-343-0377注目の歯科医師インタビューしていた時期がありました。 町の歯科医院でしたが、急患は土曜でも日曜でも夜間でも診ていましたね。歯医者さんとしては余分な仕事だったかもしれないけれど、医療として捉えた場合には誰かがやらなきゃいけないわけです。そういう父親の姿を見ながら育ったからか、自然とそうした志も受け継いできたように思います。僕と一緒に矯正専門医と、小児歯科専門医の二人の弟もここで歯科医師をして、大きな力になっています。父は僕たちに大きな目標を置いていってくれたと思っています。 有床になったのは昭和50年からです。そのうち全身麻酔が必要な場面も出てきたため、熊本大学の麻酔科の教授に相談したところ、協力が得られるようになり、大きな手術も安全に安心して行えるようになりました。病院にしたほうがいいと思ったのも、そういう背景があったからです。それで僕ら3兄弟は歯科病院設立の目標に向けて動き始めました。各方面とのプロジェクト会議を100回やりましたよ。歯科病院の必要性を求める趣意書・賛同書を一般の方々から4000通ほど集めました。プロジェクト会議100回記念が完成祝いだったのですが、あの時は本当に嬉しかったですね。――歯科専門の病院となったことで、最も大きく変わったことは何でしたか。伊東 医療安全についての責任が大きいということでしょうか。診療所時代も自主的に行ってはいましたが、看護師の配置にしても、器械・器具の消毒滅菌にしても、建物の保守点検にしても、病院化すると、きっちりと専門家の点検を受けながら一定のレベルを維持する必要があります。看護師の配置一つをとっても毎月報告する義務がありますからね。――幅広い歯科分野の専門医をはじめ、歯科衛生士、看護師や薬剤師、歯科技工士や管理栄養士などを全て病院内で確保している上、地域の連携医療システムまで構築されているようですね。伊東 現在「開放型病院」として、連携施設は約400カ所あります。歯科や医科の先生からの紹介を受けて共同診療するケースもあれば、専門分野だけを当院で請け負い、それを終えると元の医院へ戻すというようなケースもあります。開放型病床の利用率も非常に高いです。 日本は超高齢社会となり、提供する医療のリスクも高くなってきています。心臓が悪い患者さんが血液さらさらの薬を飲んでいて自院で抜歯するのが少し怖いというような場合は、専門の先生に頼むことで、患者のリスクを分散し、安全な医療に繋げることもできます。そうした取り組みに賛同して下さる医療機関が、連携先となって下さる場合もありますし、歯科医師会単位で調印している地域もあります。昔は大型診療所として歯科医師会などから敬遠された時期もありましたが、今では「『伊東歯科口腔病院』は潰しちゃいかん」と言っていただけるまでになりました(笑)――医科や介護との連携についても、経験値が高いようですね。伊東 2000年に介護保健が導入される際には、歯科界からも分かる人が必要だということで、私に白羽の矢が立ったため、いろんな職種の方々と一緒に学びました。15年以上前のことですし、まだ誰も関心を示さないような頃でしたが、だいぶ厚生省に通いましたよ。ケアマネージャーとなるため、合宿所に1週間ぐらい缶詰になるような研修を何度か受けて、必死で勉強し試験も受けました(笑) その後、熊本県でも、医師会、看護協会、栄養士会、薬剤師会、理学療法士の会など、12団体の代表者がみんな集まり協議会を作り、ケアマネージャーを養成しましたので、私も講義をしたり、ケアプランを立てるお手伝いをしたり、様々なことに関わりました。うちの歯科衛生士も10人以上はケアマネの資格を取得しましたし、今いるメンバーの中でも3名ほどは資格を持っています。 大学病院とも古くからやりとりもありますし、元々、口腔外科をやっていましたので、昭和の時代から外傷の患者さんなどの診察や手術にいろんな病院に往診に出ていましたので、最初から連携に違和感はなかったです。全てのことが必然であり、乗り越えてきた数々の困難についても、事も無げに語る伊東隆利理事長。彼は、大きな包容力と強い使命感をもって地域の医療と福祉の向上に貢献してきた偉大なるリーダーであり、奉仕と友愛の精神にあふれる真の紳士なのでした。開放型病院として、スタッフや設備を、地域の連携先の先生や患者さんに開放し、共同診療や共同指導を行うスタイルは、病院化する以前から地域歯科診療支援施設として行ってきた。

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