Dentalism 23号
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131日の歯科患者数136万3,400人。60歳以上が全体の半数を占める。 厚生労働省が発表した平成26年患者調査で、歯科診療所における1日の推定患者数が136万3400人となり、3年前の同調査と比べて900人の増加となった。男女別では、男性が60万800人、女性が76万2600人。現行の調査方法になってからでは過去最高の患者数となった。疾患別の患者数は、う蝕が27万6800人、歯肉炎及び歯周疾患が42万8200人。 注目すべきは、60歳以上が694万7000人と全体の半数以上を占めるというデータ。さらに、在宅医療の患者総数は4万6000人でそのうち65歳以上が3万1500人と大半を占めている。この結果をみても分かるように、少子高齢化に伴い、歯科医院の受診患者の高齢化が進むことは間違いない。さらに、8020運動などの影響により、高齢者1人当たりの残存歯数が増加していることを考えると、ますますその傾向は強まるはずだ。 要介護の高齢者は多くの疾患を有している場合が多く、これからの歯科医療には高いレベルでの医科の知識が求められるだろう。また、摂食・嚥下障害の高齢者も多く、その診断とリハビリ、栄養管理などの関しての知識やスキルが必要になってくる。超高齢化社会を迎える我が国において、歯科に求められる事柄は多岐にわたってくる。歯科大学、歯学部の教育体制の見直しはもちろん、歯科医療従事者もその多様なニーズに応えられるよう、研鑽を積む必要があるだろう。■歯科診療所・外来の推計患者数の年次推移■年齢別にみた推計患者数(千人)1,3501,3001,2501,2001,1501,1001,050(年)昭和5962平成258111417202326※平成23年は宮城県の石巻医療圏、気仙沼医療圏及び福島県を除いた数値平成26年10月(単位:千人)総数男女0歳1~45~910~1415~1920~2425~2930~3435~3940~4445~4950~5455~5960~6465~6970~7475~7980~8485~8990歳以上不詳65歳以上75歳以上7,238.43,131.04,107.368.3284.3234.7151.3116.3138.9181.4230.4284.4331.2329.5363.4410.3585.0760.6854.5777.2613.8348.3155.818.93,510.21,895.11,641.9769.1872.812.634.325.620.719.323.834.846.058.872.174.884.1100.8146.2190.6213.0197.9158.186.938.72.8885.3481.64,233.01,761.12,471.955.6232.2157.199.072.381.0105.7128.7156.7180.8173.3191.7213.6306.7409.3485.2463.8381.6225.8101.811.12,067.51,173.01,363.4600.8762.70.017.752.031.624.734.140.955.668.978.381.387.696.0132.1160.7156.3115.474.135.715.35.1557.4240.5総数病院外来一般診療所歯科診療所1,101.41,210.31,244.41,258.91,301.61,149.71,147.91,277.21,309.41,362.51,363.4歯周炎の原因遺伝子を発見。新たな歯周炎治療の確立に期待。 奥羽大学薬学部生化学分野の大島光宏教授らの研究グループは、歯周炎の原因となる遺伝子を解明したと発表した。歯肉溝に細菌性プラークがたまることで歯肉炎が始まり、歯肉炎がさらに進行すると、歯根膜や歯槽骨も破壊され、歯周炎となる。そのため、歯周炎の原因も歯肉炎同様、細菌であると考えられていた。 しかし、大島教授は「歯周病原因菌と呼ばれるものは口腔内常在菌であり、感染症としての原因菌があるならばすでにワクチンが作られていてもおかしくない」と考え、さらなる研究を進めていたという。その結果、歯周炎の原因が歯周炎関連線維芽細胞にあることを発見。さらに同細胞をアグレッシブにする原因遺伝子が「FLT1(フリットワン)」だということを解明した。 大島教授曰く、「歯周炎患者の歯肉には、健常者にはない歯周炎関連線維芽細胞が存在し、その細胞が歯と骨の間のコラーゲンを分解することでアタッチメント・ロスを引き起こしている」という。研究では、歯周炎関連線維芽細胞がコラーゲンを分解する過程で現れる遺伝子を調査。最も多く現れたのが「FLT1」だった。さらに、血管内皮細胞増殖因子受容体キナーゼ阻害薬などの薬剤で「FLT1」の働きを抑えることで、コラーゲンの分解も抑制できることが判明した。 大島教授らはこの薬剤を用いた歯周炎の治療薬の開発を視野に研究を進めるという。現行の抗菌や炎症を抑える対症療法ではない、これまでと異なるアプローチの歯周炎治療法が確立できるのか。それと同時に、歯科界全体として、新たな歯周炎治療を考えるきっかけになることを期待したい。奥羽大学薬学部大島光宏 教授■コラーゲン分解に伴うFLT1の発現上昇250200150100500歯周炎関連線維芽細胞健常線維芽細胞FLT1(Ohshima M et al.,J Clin Periodontol 2016)day1day2day3day4遺伝子発現(倍率)

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