Dentalism 23号
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8凄く熱心なケアマネージャーさんとの出会いによって実施されることになった勉強会です。 きっかけは1年間で誤嚥性肺炎を3回も起こした患者の義歯治療を、内科のドクターから依頼されたことによるものでした。ケアマネージャー自身は3回の誤嚥性肺炎が、どれほど悪い状況か把握されていませんでした。そのような中、夜9時ぐらいからの2回目の往診に、ヘルパーとケアマネージャーが同席して下さったのです。そこで、ケアをご覧になったケアマネージャーから、ヘルパーたちを対象とした勉強会をして欲しいという要望が出たのです。 デイサービスのヘルパーたちが、高齢者の方々が誤嚥性肺炎を起こさないためには、日々の介護の中でどういうところにポイントを置いて支援しなければならないか、家族の方たちに対して、どのようにその危険性を理解していただくかを伝えていくものです。住みなれた地域で最後まで暮らせるよう地域への広まりを願っての勉強会です。――予防から障害児にかかわり、その後は遷延性意識障害の方や様々な状態の高齢者などに遭遇されてきたと思うのですが、それぞれの口腔ケアに特有の難しさというものはありますか?黒岩 障害児の場合は、元々障害があるので、機能を獲得していませんから、その方たちのステップを善くして食べられるようにすることが目標となります。一方で、遷延性意識障害の方などの場合は、それ以前の元気だった頃は機能を獲得しているので、そういう方へのアプローチはまた少し違います。高齢者もその人その人で異なり、すべては個別の対応となるので、他職種の方々と各々の専門性を出し合い併進しながら評価をしています。――口腔だけではなく、咽頭ケアまで行っているそうですね。黒岩 今の時代、口腔は比較的キレイにしてもらえるようになってきましたが、介護や看護現場から、口腔ケアだけでなく食べる機能を引き出して欲しいという相談を受けることが、この10年ぐらい増えてきています。 口腔を確認すると、一見キレイなのですが乾燥しきっていることが多いのです。口腔内は唾液で潤っていることが大切です。でも乾燥させないための口腔ケアがなされていない場合は、口蓋垂から食道入口部に至るまで乾燥しきっているときもあります。乾燥により咽頭には薬などが絡まったり、吸引で傷つけてしまった血餅があったり、鼻腔の汚れや鼻毛などが詰まっていることがあります。ですから咽頭のケアは重要です。 いずれにしても、しっかりと評価・診断をしながら速やかにケアを行うことが大切です。のんびり行っていると患者が疲れてしまい予期せぬ状態になる場合も想定しながら細心の注意を払いつつ進めています。手指で口腔の感覚をキャッチしながら、適切なケア用品をフルに使ってスピーディーにケアを行います。「くるリーナブラシシリーズ」は、喀痰吸引の回数を減らすためにも開発しました。――このハードスケジュールの中、どうやって気力と体力を維持されているのでしょうか。黒岩 患者さんに寄り添う同じ思いを共有できる仲間がたくさん増えていて、その戦友・同志たちと一緒に困っている患者のアセスメントをさせていただき、お互いの専門性を出し合って患者にアプローチすることで、かかわる患者がよくなる方向に向かい、結果が出せていることがパワーの源です。他職種のセミナーなどで、若い介護の方たちや他職種から学びを得ると、帰りの飛行機がいつ墜落しても全然悔いはない、と思えることもあります。そのぐらい命かけてますもの(笑)寝る間も惜しんで飛び回る黒岩恭子先生は「飛行機と電車と車が私の寝室」と語り、「ご飯を食べる暇もないから食事は移動キッチンで」と笑う。そうしてまさに命を削りながら患者に寄り添い、ひたむきに「食べられる口」作りに邁進している。

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