Dentalism 22号
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13一人歯磨きが思わぬ大参事に。乳幼児の歯ブラシ事故に注意。 乳歯が生えると始まる歯磨き。小さいうちから子どもに歯磨きを身につけさせようと頑張っている母親も多い。しかし、そこには思わぬ危険が潜んでいる。東京消防庁管内では、平成22年から26年までの5年間に、5歳以下の乳幼児が歯磨き中の事故で207人が救急搬送されているという。また、消費者庁と国民生活センターの共同事業である医療機関ネットワークにも、乳幼児が歯磨き中に歯ブラシをくわえたまま転倒するなどして外傷を負ったという報告も多数寄せられている。中には、歯ブラシが頬に刺さって手術となったケースや、咽頭に刺さった歯ブラシの先端が折れて頸静脈のすぐそばにまで入ってしまったケースなど、重症となる事例も珍しくないという。 また消費者庁が行った意識調査によると、4人に1人の乳幼児が歯ブラシにより怪我をした、または怪我をしそうになった経験があるとのこと。しかし、歯ブラシは箸やフォークと違い先端に丸みを帯びているため、大きな事故に至るという認識が保護者にはあまりないという。 乳幼児に歯磨きを教えることは、オーラルケアの観点からも子どもの成長教育の観点からも重要なことである。しかし、その際には、大きな事故が起こり得ることを保護者が認識することが大切だ。特に1〜2歳児は歯ブラシを口にくわえたり手に持ったまま歩き回ることが多く、保護者に対するより一層の注意喚起を促す必要がある。 毎年、この時期に流行し、大きな話題となるインフルエンザ。予防接種を受けたり、マスクをしたりと様々な方法で対策をしているが、歯周病菌の一つがウイルス感染を助長している可能性があることを、日本大学口腔細菌学講座の落合邦康教授らの研究チームが発表した。 インフルエンザウイルスは、表面にあるタンパク質がタンパク質分解酵素の作用で変化すると感染力が高まる。通常、この変化は喉や鼻などの呼吸器官の細胞が持つタンパク質分解酵素の作用で起こるが、ジンジバリス菌が産生する酵素でもその作用を起こす可能性があるという。 落合教授らは、2014年に流行したA香港型ウイルスで実験。インフルエンザウイルスに感染させた細胞に細菌の培養液を混ぜ合わせたところ、ジンジバリス菌が産生するタンパク分解酵素がウイルスの細胞内への侵入を促進させることをつきとめた。また、口腔レンサ球菌が産生するNA(ノイラミニダーゼ)がウイルス自身のNAと相乗的に働き、ウイルスの放出が促進され感染が重症化することもわかった。 この研究結果により、インフルエンザ感染予防や重症化防止において口腔ケアの重要性がますます高まったと言える。口は身体の入り口、口腔内を清潔に保つことは全ての病気のリスク低下に繋がりそうだ。歯周病菌がインフルエンザ感染を助長。予防、重症化を防ぐには歯磨きから。■インフルエンザ感染における口腔細菌の影響HAA 得に関! " " ! の感HA0 P. gingivalisNA ! " " ! HA1 るHA1 HA2 0平成22年平成23年平成24年平成25年平成26年102030404050n=207救急搬送人員(人)40454438■歯磨き中の事故による 年別救急搬送人員日本大学口腔細菌学講座落合邦康教授

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