Dentalism No.19
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18 「ゆっくり噛んで食べる」の根拠を立証。咀嚼を基盤にした減量手段の開発に期待。これまで様々な研究で、早食いが過食につながることが報告され、体重増加との関連が示唆されてきた。しかし、一定量の食事を摂取した場合でも、食べる速さが体型に影響を与える可能性があるのかについては明らかにされていなかった。調査したのは東京工業大学大学院社会理工学研究科の林直亨教授らの研究グループ。被験者10名に300キロカロリーのブロック状の食品を与え、急いで食べる試行と、ゆっくり食べる試行とを実施した。前者では平均103秒、咀嚼回数が137回、後者では497秒、702回の結果。また、安静時から摂食、摂食後90分までの酸素摂取量を計測し、食後誘発性体熱産生量を算出。腹腔動脈と上腸間膜動脈の血流量を計測した。その結果、食後90分のエネルギー消費量は、急いで食べた場合は体重1㎏当たり平均7カロリーだったのに対し、ゆっくり食べた場合は180カロリーと有意に高い値を示した。これは、体重60㎏の人がこの食事を1日3回摂取すると仮定した場合、咀嚼の違いにより1年間で食事誘発性体熱産生量に約11000キロカロリーの差が生じることとなる。脂肪に換算するとおよそ1・5㎏に相当する。また、消化管の血流もゆっくり食べた方が有意に高くなった。この研究結果により、ゆっくり食べることが食後のエネルギー消費量の増加につながることが科学的に確かめられた。林教授曰く「咀嚼を基本とした減量手段の開発に役立つのではないか」としている。東京工業大学 大学院 社会理工学研究科林直亨教授■ 体重当たりの食事誘発性体熱産生量の変化体重当たりエネルギー消費量(cal/kg/min)-1.55101520253045607590Rest食事-0.50.51.51232.50-1時間(分)****########●が急いで食べた試行を、●がゆっくり食べた試行を示す。食事から5分後には、両試行の間に差が見られ、食後90分まで続いた。♯:試行間の有意差 *:摂食前の安静時エネルギー消費量との間の有意差 歯科医による「しわ取り」が急増。歯科の領域について賛否両論。一般的に美容外科医らの医師が手がける、ヒアルロン酸注射による顔のしわ取り。近年、歯科診療の一環として、しわ取りを診療メニューに加える歯科医院が増えている。歯科医向けの美容治療セミナーが毎月開催され、希望者も増えているという。まず問題なのは、歯科医が美容領域であるしわ取りを行うことが違法ではないかということ。厚生労働省が1996年に専門家会議で出した通達では、歯科の診療対象に口唇が含まれている。口唇とは口の周り全体を指すため、ほうれい線のしわ取りも診療の対象になるというのが、ヒアルロン酸注射を行っている歯科医院の解釈だ。日本歯科医師会も違法性はないとの見方を示している。この流れの背景には、歯科業界の過当競争がある。現在、歯科医院は全国に68000軒もあり、その数はコンビニよりも多い。経営が成り立たず、廃業を余儀なくされる歯科医院も少なくない。そんな中、自由診療の幅を広げて、しわ取りを行う歯科医院が増えてきた。実際、入れ歯やインプラントなどの矯正治療で口元の形が変化して出来る縦じわに悩んでいる患者が多いこともある。厚生労働省は「しわとり目的でヒアルロン酸注射をするのは一般的な歯科治療ではない」としている。ただ、「目的がインプラント治療の一環として行う場合は何とも言えない」としており、今後、実態調査を行う予定だ。医科と歯科との境界線の問題や歯科医師の技術的問題、さらには既得権益の争いもあり、歯科医のしわ取りには賛否両論、様々な意見が出てきている。何はともあれ、美容的な施術で利益を追求するあまり、歯科本来のサービスをないがしろにしてはならないことは確か。提供側ではなく国民にとってどうなのかという視点で考えていかなければならないだろう。

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