Dentalism No.19
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11定期健診が習慣となっている都会の若い人はすごく多いですね。僕も45年前からリコール制度をやっていて先駆けと思っているけれど、ここまで一般的になってきているのか、と。地方と都会とでは随分違うものだと感じます。――近頃はセカンドオピニオンの需要も高いと伺いますが、先生はどのように対応されていますか。谷口 今日来た患者さんもセカンドオピニオンを求めて来院されました。「別の医院で、抜歯と言われたが、本当にそれしか道はないのか」と。セカンドオピニオンでえそれが困難であろうとも、現実的でないといわれようとも続けてゆくつもりです。歯周病にタバコが悪いと知っていたらタバコをいただいても素直に「ありがとう」と言って受け取れないでしょう。同じことですよ。人工甘味料ならばよいかといわれるけど、それはそれで問題があるし、いずれまた、砂糖に戻りますよ。――自院を取り巻く環境について、近年の動向の中で気になるものはありますか?谷口 数年前までは、口コミや紹介でしか新患は来なかったですし、その数も少なくはなかったのですが、ホームページを作った3年ぐらい前からでしょうか、新患の9割近くがインターネット経由でくるようになりました。かつては、当院に対する予備知識を持って来て下さる患者さんがほとんどだったので、ある意味では楽でした。でも今は、長野に来たばかりの人が「定期健診お願いします」と言ってやって来たり、「前に行っていた歯医者はこうだった」とかいうような、いろんな方がいらっしゃって、ああ、世の中は今、こうなっているんだと気づかされます。は、うちに来いとは言えないですから、状況を説明し、僕だったらこうするという意見を言うだけです。なかなか難しいですね。今、インプラントをやりたい先生も多いから、この歯を抜いてインプラントをと、簡単に言われることもあるようですが、それじゃあ患者さんは不信感を持つよね。僕だってインプラントはやりますよ。ただし、それはやむをえない場合のみ。他で抜いて欠損になっていて、うまく噛めない場合など、適用だったらインプラントをやる、そうでなければ他の歯を守るためにやるだけ。インプラントは、口腔外科や、補綴科から始まったので、危ない歯は抜いてインプラントという先生が多いですが、ペリオの立場からだと歯を残すことが絶対原則だから、そこに至るまでのアプローチが違うよね。――これからも先生が45年間で蓄積されてきた豊富な臨床の軌跡を、日本の歯科医療の発展のために様々な形で活かしていただきたいものです。谷口 僕はね、研究とかデータとかは決して嫌いなほうじゃないし、やりたい統計はいっぱいあるし、データもそれなりにある方だとは思う。だけど、あくまでも臨床医である、という姿勢を貫きたくて、これまでは、あえてそれは謹んできた。臨床医というのは、一症例一症例、皆違っていて、それをいっしょくたにしてまとめることにどうも馴染めなかった。でも20年、30年の経過があって、ケースがあるからこそ、初めて話1942年長野県出身。1967年東京医科歯科大学歯学部卒業、68年同歯学部口腔外科専攻科修了。69年長野市にて『谷口歯科医院』開業。日本歯周病学会理事、専門医・指導医、日本臨床歯周病学会認定医・指導医。日本顎咬合学会認定医・指導医。日本臨床歯周病学会元理事長。■谷口歯科医院長野県長野市南石堂町1271☎026-226-0262  http://www.taniguchishika.jp谷口 威夫(たにぐち・たけお)ができたり、説得力が伴ったりすることがあることも実感している。40年前に、日本人には日本人なりの咬合理論があると思ったけど、そんなことに気づいている人は少なかったし、25年前に「ブラキシズム」なんて言っても、ピンとくる人は少なかった。けれど、時間の経過とともに状況は変わってきている。日々、患者と向き合っている臨床現場では、実はわかっていた人はいっぱいいたと思うし、現在も素晴らしい臨床家は大勢いますよ。「歯医者が面白くて仕方ない。無理難題を言ってくる患者の要求に応えて、叶えてあげるのが趣味なの」と笑う姿に、プロフェッショナルな総合歯科医師としての責任と、患者本位を貫き通す臨床家としての覚悟を垣間見たのでした。注目の歯科医師インタビュー毎週水曜日の2時から4時までの間、院内で勉強会が行われている2階ミーティングルーム。ここでは毎日全員揃って昼食もとられている。ちなみに、一年中、炊き立てのご飯と出来立てのお味噌汁が院長から提供されている。院長を「仕事好きな、熱心な歯科医師です」と称するのは、息子で副院長の崇拓(たかひろ)さん。

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