Dentalism No.17
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18「食後30分以内に歯磨きをすると歯を傷つけてしまう」という報道がメディアを賑わし、物議を醸している。これは、食事によって糖分や炭酸を摂取した後は、特に口内が酸性に傾き、その状態で歯磨きをすると、歯のエナメル質が溶けやすくなってしまうというもの。歯の腐食を防ぐには、酸にさらされたエナメル質が唾液によって再び硬さを取り戻すまで、少なくとも食後30分経ってから歯磨きをするのが望ましいとのことだ。これにより、昼食後の歯磨きを推奨してきた教育現場にやや混乱が生じた模様で、日本小児歯科学会が見解を発表。人の口の中では、食べた後に口の中が酸性になったとしても、唾液には酸を中和する働きがあり、酸性飲料の頻繁な摂取がない限りすぐには歯が溶けないように防御機能が働いている。つまり、日本の一般的な食事では食後すぐの歯磨きにより歯が溶けることはありえない。反対に食後に歯磨きをしないままでいると、すぐに歯垢中の細菌によって糖分が分解され、産生された酸によって歯が溶けはじめる。結果として、食後は早めに歯磨きをして、歯垢とその中の細菌を取り除くことが重要とのことだ。日本歯科保存学会も、「これまで通り食後の早い時間での歯磨きを続けてもらいたい」と発表していたが、酸性の強い飲料などを摂取した場合には、酸蝕に留意した歯磨きを推奨すると改めている。要するに、むし歯予防には食後すぐ、酸蝕症の予防のためには、食後30分経ってからの歯磨きが良いということだろう。ただ、酸の強い飲料といっても、炭酸飲料はもちろん、スポーツ飲料、食酢ドリンクなど色々ある。一般生活者、特に小さい子どもを持つ親にとっては、頭を悩ませるところだ。歯磨きは食後30分以内か、以降か。ブラッシングのタイミングで物議。20分以上ガムを嚙むことは良い!?咀嚼することの健康効果とは。口腔衛生学を専攻し、歯学博士を取得した『江上歯科』(大阪市北区)院長の江上一郎氏によると、「ガムを噛むことは健康に繋がる。ガムを噛むことで口腔内の洗浄を担う唾液の分泌が促進されるのが一番の理由」とのこと。1㎖の唾液が口腔内の細菌を90億個も取り除くと言われており、唾液分泌量が少ない人にとっては有効だ。また、ガムを噛むことで咀嚼力の衰えを予防したり、顎の関節を強化することはもちろん、精神のバランスを整えるセロトニン神経を活性化させるという面でも効果的だという。大リーグの選手がバッターボックスでガムを噛んでいるのも、セロトニンでの緊張感緩和を意識してのことだ。キシリトールやCPP-A C P(リカルデント)を配合したガムについては、天然素材の甘味料を使用しているため、むし歯の原因となる酸をほとんど生み出さない、歯垢を付きにくくするという点で有効とのこと。また、噛む時間も大切なポイントになってくる。「味がなくなった時点で捨てずに、長く噛み続けることが重要です。噛み疲れた場合は、舌の上に丸めて置いておく。そうすれば、唾液が出てきます。口腔内は異物を感じると唾液を分泌する仕組みになっていますから」と、20分程度は噛み続けることが必要とのことだ。ご存知の通り、ガムに限らず噛むという行為は全身を活性化させるために重要な働きをしている。口腔内の洗浄をはじめ、肥満予防、脳の発達などその効果は大きい。とかく日常の食生活において、噛む回数が少なくなっている現代人にとって、ガムを噛むことは有効だろう。江上歯科医院江上一郎 院長

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