Dentalism No.17
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16悪玉歯周病菌「P・ジンジバリス」が影響。非アルコール性脂肪肝炎との関係は密接。これまでの様々な研究により、歯周病は糖尿病や心臓病など全身の疾患に関わっていることが判明している。そんな中、大阪大学歯学部の和田孝一郎准教授らの研究グループの研究の結果、新たに非アルコール性脂肪肝炎(NASH)にも関与していることが分かった。和田准教授らのグループは、非アルコール性脂肪肝炎と診断された102人から唾液を採取し、歯周病菌の種類を調査。その結果、歯周病菌の中でも悪玉菌である「P・ジンジバリス」の保有率は、健康な人は21%、脂肪肝の人は46%。脂肪肝炎の人は52%に達していることが分かった。その上で、「P・ジンジバリス」を持っている非アルコール性脂肪肝炎の患者に歯周病の治療をしたところ、ALTとASTの数値が正常値まで戻ったという。今回の結果で特筆すべきなのは、非アルコール性脂肪肝炎が糖尿病や心臓病より歯周病との直接的な因果関係が深いということ。非アルコール性脂肪肝炎の患者の2人に1人は「P・ジンジバリス」を保有しており、保菌していない人に比べて、非アルコール性脂肪肝炎になる確率が4倍も高いことが示唆された。日本において、非アルコール性脂肪肝炎を含む非アルコール性脂肪性肝疾患の患者数は約1500万人。肝疾患は自覚症状がないことが多く、放っておくと肝硬変から肝がんにまで進行する可能性がある。将来的には、歯科と医科が連携して治療に当たることが必要になってくるかもしれない。シェーマ提供/大阪大学歯学部 和田孝一郎准教授九州大学の研究グループがエナメル質の作成に成功。九州大学 大学院で口腔病理学を専攻する坂井英隆教授の研究グループが、人の皮膚細胞を培養し、歯の生成に欠かせないエナメル質を作り出すことに成功した。歯は象牙質とセメント質をエナメル質が覆う構造になっている。象牙質とセメント質は体内でいつでも生成されるが、エナメル質は体内で作り出されることはない。永久歯が形成される際に、エナメル質を作り出すエナメル芽細胞が消失するためだ。そのため、永久歯は一度しか生えてこない。坂井教授らは、マウスの胎仔に歯が形成される際、細胞の骨格に関わるサイモシンβ4という遺伝子が多く出現していることに着目。人の背中の皮膚から作られた研究用細胞にサイモシンβ4を注入して3週間培養したところ、エナメル芽細胞と同じ性質の細胞に変わり、タンパク質やリン酸カルシウムを含むエナメル質が作り出された。今後は、患者が抜いた親知らずなどの歯に付着した歯肉の粘エナメル質を作り出すことに成功した九州大学 大学院 歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 口腔病理学研究分野 坂井英隆教授の研究グループ。写真中央が坂井教授。膜細胞を口腔内に近い環境の下で培養し、象牙質やセメント質も含めた歯の形成を目指す。形成された小さな歯を患者の顎の骨に埋め込めば、やがて歯肉に定着して新しい歯ができる見通しだ。坂井教授曰く、「実用化するには10年以上の年月が必要」とのこと。これまでは、一度なくなってしまった永久歯は義歯やインプラントで補うことしかできなかったが、再生医療が実現すれば、自分の歯を取り戻すことが可能になる。

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