Dentalism No.17
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11いうのです。信頼して来てくださって嬉しい一方、ここで失敗すると日本の恥だと思いましたよ。自分の子どもなら、大切な人の治療なら、どうしてあげたいか。まさにそういう気持ちで常に治療に向き合わないといけないと思うんです。保険医療の場合、誰がどんな治療をしても同じ点数で、誰が見ているわけでもない。だからといっていい加減な治療をしていいわけがない。大切なのは医療人として責任と誇りをもって患者さんを助けること。そして、絶えず自分に欠けている知識や技術を学び、患者さんの要求を満たせる状態に持っていくことですよね。――保険のお話が出たのでズバリお伺いしたいのですが、月星歯科医院では自費と保険の比率はどのぐらいなのでしょうか?月星 自費と保険の比率は1対2ぐらいですが、自費は家内(矯正専門医)の矯正治療によるところが大です。自費がなければ赤字ですが、そこまで保険でやるの? というものも含めて保険でやっている自負はあります。保険でも治療のクオリティは同じですしね。――日の丸を背負って世界の歯科の最先端で頑張ってくださっている感じですね。月星 そういう緊張感はありますね。新館ができて2カ月ぐらい経った頃の話ですが、息子さんの治療のため40時間かけてブラジルから訪問してくださった方がいました。お父さんは歯科医師で腕のいい外科医なんですが、奥様から世界で最も信頼できるところに子どもを連れて行くように言われたとエンド(根管治療)などは保険の患者さんも全員、マイクロスコープ(顕微鏡)をのぞきますし、高価な機具も惜しまず使用します。治療時間も1時間から1時間半かかることもざらです。僕はAAE(米国歯内療法学会)でも5回発表していますが、エンド技術についても向こうの先生方は上手いと言ってくださる。でも、そんなアメリカの一流エンドドンティストは1根管あたり約10万円ほどチャージするのに対して、日本では大臼歯で全てやっても1万5千円ぐらい。20分の1ぐらいの価格差があるわけで、日本の歯科ではどうしてこんなに低く設定されたものを押し付けられるのかわからない。どこかで改善しないとダメですよね。安いからいい加減な治療をする人も出てくるんじゃないでしょうかね。日本の大臼歯のエンドの成功率は3割以下だと私は想像しています。――技術の高い歯科医師の元で、保険治療を受けられる患者さんは本当に幸せですね。月星 保険の患者さんは自費の患者さんの恩恵により、より整った設備の環境下で治療が受けられていると言えるかもしれません。でも、自費だからといってそんなに高額な価格をいただいているわけでもないですよ。「歯科医師として一流になる前に人として一流になれ」というのは石井正敏先生の教えですが、それを忘れることなく歯科に向き合っていきたいですね。――今も日本の各地で、志を高く1952年愛知県出身、1977年大阪大学歯学部卒業。1981年京都大学医学部卒業。医学博士取得。1982年月星歯科クリニック開業。日本自家歯牙移植・外傷歯学研究会会長。2009年~2011年国際外傷歯学会会長。ロマリンダ大学歯内療法学教室非常勤講師、ウエスタン大学歯学部臨床准教授。■月星歯科クリニック愛知県海部郡蟹江町学戸6-8☎0567-95-6666http://www.tsukiboshi-dc.com/月星 光博(つきぼし・みつひろ)学び続けている歯科医師の先生方に、一言エールを。月星 臨床でも、学びの場でも、「感じる心」を大切に持ち続けて欲しいと思います。伸びる人というのは、一様に感動する人。自分が後悔し、反省することも含めてです。患者の気持ちもわからない、何も感じることができない、「気づき」を糧にできない人は、どうしようもない(笑)世界の外傷歯治療、自家歯牙移植をリードする巨匠に、身近に学ぶ機会が得られる日本の歯科業界は、ある面で恵まれている。治療も、集中力も、生きるスピードさえも、人の何倍もあるのではないかと感じさせる月星先生の元で、未来の歯科をグローバルに支える臨床家が一人でも多く育つことを祈りたい。CEセミナーでは、歯科臨床の基本であるエンド、ペリオから、外傷歯、自家歯牙移植まで歯科全般に及ぶ治療の基礎的知識と専門的技術を包括的に習得できるようプログラムされている。セミナールームには可搬式歯科用ユニット11台、マイクロスコープ4台が導入されており、効率的な研修実習環境が整っている。新館1階。奥様の矯正診療室の一角に設けられた個室にて。

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