Dentalism No.16
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9るということも、もっとやったらいい。日本を良くするためには日本だけではダメ。――国際規格の中で競争し、勝てるようにならないといけないということですね。石川 携帯電話も日本独自の方式にしたことによって、世界で戦えない状態になっている。いい研究者を海外から雇ってオープン企画にうって出るぐらいしないと。日本は1000兆円の借金がありますが、薬や医療器具で毎年2兆円の貿易赤字を出している。ペースメーカーや人工心臓弁、人工血管などは全部輸入品です。技術がないわけではないのに、審査が通らない。歯科でも毎年100〜200億らないでしょう。会っている回数やコミュニケーション能力も大事ですし、日本人はもっと海外へ出ていかないと。アルペンスキーのルール変更の問題だってそうです。「それはおかしい」と反対すればいい。APSP(アジア太平洋歯周病学会)でも、時代にあわせてルールを変えようという提案が毎回のようにある。でもそういう際に主張していくことで、別の国では例外もあるという一文が記載されることになる。かつて「留学生10万人計画」で海外から留学生を受け入れる政策がありましたが、今は10万人出すことをやったほうが日本の発展のためにはいいのではないかと思いますよ。優秀な外国人を受け入れ円の赤字を出している。インプラントだけでも50億円ぐらい。日本で作っていても、ライセンスなどで赤字になるわけです。CAD/CAMもインプラントも外国技術の追認で遅れている。外国の製品を買い、外国の技術を学び、ではね。国際規格にして、さらにもっとその上を行かないと。――先生の研究は、日本発で勝負するためのものなのですね。石川 この前もヨーロッパのインプラント学会に招待するから研究内容を紹介しろというので発表してきたばかりですが、今、インプラントに歯根膜をつける研究をしています。ほかの天然歯との結合もよくなるしね。世界でも同じようなことはやっているはずですが、日本がどれだけ進んでいるかをチェックするために招待するわけですよ。向こうも利益があるから、わざわざ飛行機代を出して招いてくれる(笑)70歳もすぎて、いつまで研究やってるの? と言われることもあるけど、楽しいから続けられる。「求めよ、さらば与えられん」でしょうかね。日本がダメならフランスやスウェーデンなど、本物の技術だったらどこへでも持っていけるし、あっと云う間に広がっていくものです。――歯学部の学生や、若い研究者、歯科医師に何かメッセージを。石川 何事も棚ぼたはないですよ。だけど意欲を持ち続けやりたいと思っているうちに、いつの間にか扉は開きますよ。海外にも出て欲しい。若い人が、少しばかり海外に出て、英語が通じなくて食べたいものが食べられなくて、日本食が一番おいしくていいとかいうようなことは止めてもらいたいですね(笑) 逆に頑張っている人は、後押ししてあげなきゃ、とも思う。海外へ出ていると世界の動きがよくわかりますよ。アジアの事例だけでも、フィリピンでいいポジションが得られないからマレーシアの大学へアプライする人がいたり、香港の先生がタイで教えてい1940年生まれ。1965年東京医科歯科大学歯学部卒業。同大学院在籍中にスイスのジュネーブ大学で助手を務め、1971年東京医科歯科大学歯学部研究家博士課程修了。その後、同大学の助手、助教授を務め1984年より同大学教授、2000年より同大学院教授となる。2005年より同大学名誉教授となり、この年より東京女子医科大学 先端生命医科学研究所の客員教授となる。現在は同研究所の顧問として歯周病の再生医療研究に力を注いでいる。■東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 東京都新宿区河田町8-1 ☎03-5367-9945 http://www.twmu.ac.jp/ABMES/研究室では多くの研究員たちが、様々な研究の下支えをしている。石川 烈(いしかわ・いさお)たり、そういう時代ですよ。東京大学が世界のトップ10に入るために授業を英語にするなど、日本もどんどん変わってきていますが、それでもまだ日本の学生の語学力は台湾、タイ、香港に比べても劣っています。歯科大学、歯学部はさらに高揚感が足りないような気がします。もっと世界に目を向けて頑張って欲しいですね。今年に入ってからも2カ月に一度のペースで海外へ赴き、10本以上の原稿を書くというハードな日 々を送りつつも、研究に専念できる喜びについて嬉しそうに語って下さった石川烈先生。彼のように広い視野で世界を見渡し、日本の行く末を考え、様々な人たちと積極的に交流できる研究者が、もっと日本で開花する環境が整うことを願わずにはいられないのでした。

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