Dentalism No15
17/32

15DentalismNews &Topics「歯を失うと記憶力が低下」の研究結果。頭の健康のためにも歯のケアは重要!食事を楽しむためには健康な歯が不可欠。何しろ人工の歯は治療費の負担も大きいが、それだけではない。ノルウェーとスウェーデンの大学による共同研究チームの発表によると、人工の歯ではない天然の歯の数と記憶力には相関関係があるという。今回の研究は、55歳から88歳の273人の参加者を対象に行われた。参加者の歯の数は平均22本と、すべての歯が揃っている場合よりも10本少なく、喪失歯の70%は臼歯。研究チームが対象者に記憶力テストを実施した結果、天然の歯の数が多いほど記憶能力が高い傾向が認められたという。では、天然の歯が多いとなぜ記憶力が高いのだろう。著者の見解によると、天然の歯から人工の歯に変わることで「歯の感覚」が低下し、脳に送られる信号が減ってしまうことや、「噛む力」の影響などが考えられている。「噛む力」が大きいと、脳への血流が増え、脳の広範囲の部位の活動が活発になるのだ。また、歯を失うことによる食生活の変化も見逃せない。特定の食べ物を避けるようになり、ビタミン、タンパク質の摂取量が減ることが、脳の活動に影響を与える可能性があるとも。先日、国内でも、奥歯のないマウスは記憶力が低下するなど、アルツハイマー病の症状が悪化しやすいとの実験結果も報告された。理由は色々と考えられるが、歯を長く健康に保つことは、記憶力を維持することにもつながるようだ。頭の健康を良好に保つためにも、歯のケアにより意識を高めていきたい。歯周病に意外な救世主?ローヤルゼリーの予防効果に期待。日本の歯周病人口が増加する中、「8020運動」による歯の長寿命傾向が進み、中・高齢者の残存歯数が増加した一方、口腔内のトラブルに拍車がかかり、より深刻な問題となっている。その様な中、今や国民病となりつつある歯周病に、意外な救世主が現れた。学術誌「Biomedical Research」に発表された研究報告によると、ローヤルゼリー(※1)が、歯周病で傷ついた歯を支える歯周組織の修復を促し、さらに歯周病菌による歯周組織の炎症を抑える可能性が明らかにされた。研究を行ったのは、『山田養蜂場』の「山田養蜂場 みつばち研究助成基金」にて助成を受けた大阪大学歯学研究科の柳田学(やなぎた・まなぶ)助教らの研究グループ。今回の研究では、マウスの歯根膜から採取した細胞を用いて、石灰化や、歯周病菌による炎症に対するローヤルゼリーの働きを探った。結果、ローヤルゼリーが骨の形成に関わる遺伝子の発現を高めて、歯周病によって傷ついた歯周組織の修復(石灰化)を促す可能性、さらに、炎症性サイトカイン・ケモカインの産生を抑えて、歯周病菌による歯周組織の炎症を抑制する可能性が示された。ただし、この成果は培養細胞を用いた試験であるため、今後、動物やヒトを対象とした検証が待たれる。歯周病は日本人が歯を失う原因の第一位であるうえ、糖尿病や肺炎、動脈硬化などの原因にもなる可能性が指摘されており、関心は高まる一方だ。今回示された「歯周病にローヤルゼリー」の可能性は、より効果的な歯周病予防や改善の一助につながる一歩として注目したい。大阪大学大学院歯学研究科口腔治療学柳田 学 助教石灰化の度合いの比 :p<0.05:p<0.01(vs.ローヤルゼリー 0 mg/ml)ローヤルゼリー(mg/ml)0.000.020.10.51.02.03.0※1)ローヤルゼリー…ミツバチの働き蜂が花粉や蜂蜜を食べ、女王蜂の特別食として分泌するゼリー状の乳白色物質。■ローヤルゼリーによる歯根膜の石灰化の促進

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です