Dentalism No15
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9に患者さんのポーセレンまでやっていた。やっぱり進んでいるし優れていると感じました。ただ25年も経てば、いつか日本も追いつけ追い越せで教育システムも良くなるだろうと期待して帰ってきて今までやってきたわけですが、逆に今は学生に臨床実習もやらせない。それを補うために臨床研修医制度が出来たわけですが、思った通りには機能していないですよね。だからもう一度、大学で臨床実習をすべきだと思います。アメリカの大学と同じようにインストラクターの元で行う学生による治療の保険点数を低くするとか、患者さんの一部負担を低くするとか、方法はいろいろあると思いますよ。歯科医師が過剰だと、皆口を揃えて言いますが、できない歯科医師をいっぱい出してもしょうがないじゃないですか。決して、できる歯科医師が増えているわけではない。できない歯科医ばかりが増えるのは患者さんにとっても不幸なこと。患者さんとともに、声を押し上げて行くことも大事ではないでしょうかね。――若い歯科医師たちにメッセージを一言。ために始まった医術です。それをバックアップするために科学が生まれたはず。臨床の場も、研究の場も、双方の目的は患者さんの問題を解決することなのに、いつの間にか「エビデンス、エビデンス」と研究ありきな方向に進んではいないかと少々危惧することはありますね。確かに研究は必要ですが、原点は患者さんの幸せ。ベストプランしか考えないというのは研究の分野ですよ。人はジェネレーションによって考え方や感じ方も変わってくるものだし、当然、患者さんのニーズも変化してきます。臨床では患者さんが求めるシナリオで進めるというケースも当然ありだと思う。様々な要望にフレキシブルに対応できるようにならないといけない、と私は思っています。――教育システムも再構築する必要があるとお考えですか?寺西 もう一度、リスタート、リセットすることも必要でしょうね。もう34~35年前のことになりますが、留学していたときに愕然としたのは大学の臨床実習の在り方でした。当時は日本の大学でも臨床実習はありましたが、USCでは、より学生に委ねられていて、夜中本当は、それができるぐらいの患者さんしか真剣には診れないということではないでしょうか。全員右へ倣えでこの保険の中で全部やらなくても、いろんなスタ寺西 今、治療している患者さんの名前と口腔内の状況を、何人ほど解説できるだろうか。もし忘れ去られている患者さんがいるとすれば、彼らはいったい何なのか。僕もこの年になると、過去の患者さんの名前がスッとでないことがあるけれど、口腔内の映像は覚えているものですよ。だから一目見ればカルテを見なくても、どこがどうなっているかがすぐに思い出せる。それは記憶力がいいわけではなく、それだけ時間を費やしてその患者さんのことを考えたというメモリーがあるだけ。イルの医療があっていい。それを「これしかいけない」と決めつけて、歯科医師が多いと嘆くのは何だか変じゃないですかね。北米やヨーロッパなどの諸外国と比べて日本はまだ少ない方。歯科はまだ未解明な分野もたくさんあります。今後は臨床サイドからも発信し、研究者たちと一緒に研究していくという体制をとっていくことで、さらに確立した分野になると思います。できることはいっぱいありますよ。歯科医療は患者のためのものであり、臨床家のベストプランを披露するステージではない。医療現場では技術や経験もさることながら、それを下支えする意識や姿勢が重要なのだということを、改めて感じることができました。趣味の水中写真は、ダイブフォトコンテストで入賞するほどの腕前。この写真はセンジュイソギンチャクに隠れていたハナビラクマノミが出てきたところを撮影したもの。平日は診療、休日はセミナーや研修会で講演することも多く時間がとれないけれど、この秋には沖縄でジョイントミーティングを開催する際にもぐる予定なのだとか。寺西邦彦(てらにし・くにひこ)1954年東京都出身。1973年私立武蔵高校卒業。1979年日本大学歯学部卒業。1980年より阿部晴彦先生に師事、1982年南カリフォルニア大学歯学部に留学。1983年港区赤坂に『寺西歯科医院』開院。スタディーグループ赤坂会顧問。SJCDインターナショナル常任理事。■寺西歯科医院東京都港区赤坂2-17-22赤坂ツインタワー1F03-3582-4400http://www.terradent.com/

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