Dentalism No14
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13DentalismNews &Topics遺体の「歯」による身元確認活動を強化。更なる大規模災害を想定した準備を。東日本大震災発生から2年。いまだ行方不明者の捜索が続けられているが、身元が特定された犠牲者のうち約1割は歯牙鑑定が決め手となったとされている。一方、歯牙鑑定を行わず、身体的特徴や持ち物などから判断したケースでは、少なくとも13件の取り違いが判明した。今回の震災で歯科医師会と連携し、コーディネーターの役割を務めた岩手医科大学法医学講座の出羽厚二教授は、図らずも自然発生的に成立した体制を「予め、組織的、計画的な災害対策が策定されていれば、もう少し違った形になったと思う」と振り返る。具体的には安置所レベルでの責任者がいれば、デンタルチャートのクオリティがコントロールできたこと、焼損死体の多かった地域に戦略的に経験豊富な歯科医師を集中的に送り込むことで、質の高い歯科所見を採れたこと、などがある。今後は県レベルのコーディネーターの育成が重要になると考えており、平時の仕事としては①想定災害時のシミュレーション作成 ②総合的な訓練の企画、実施 ③備品の整備 ④連絡網の構築、非常時にあたっては⑤初期出動・現場の把握 ⑥連絡調整⑦派遣計画の策定 ⑧歯科データ収集と一括管理 ⑨照合を挙げている。「“起こって欲しくないことは想定しない”ことが我が国の社会的病根に思われる。“起こって欲しくないこと”や“見たくないこと”に正面から向かっていきたいものだと思います」今震災の反省に立ち、首都直下型地震や東海、東南海地震を想定した歯科の検案活動について考え、準備をしていく必要があるだろう。歯の幹細胞で脊髄損傷を回復。国内初の臨床研究申請へ。岐阜大大学院医学系研究科と岐阜薬科大学の共同研究グループが、歯の内部にある歯髄幹細胞などを脊髄損傷の患者に移植し、運動機能を回復させる治療法の臨床研究に乗り出すことになった。乳歯や親知らずの中にある歯髄幹細胞は、数が確保しやすいうえに、増殖が早く、神経細胞などに分化する能力も高いとされる。今回の研究に使われるの臨床研究の対象は、交通事故やスポーツ事故などで脊髄を損傷した直後の患者。神経軸索の再生と機能の回復をはかると同時に、副作用や拒絶反応の有無も検証する。今夏にも岐阜大の倫理審査委員会に申請し、倫理委と厚生労働省が承認すれば、歯髄幹細胞を使った国内初の臨床応用となり、寝たきりや車いすの生活を強いられる患者を少しでも減らすことができれば、大きな前進となりそうだ。岐阜大学大学院医学系研究科手塚建一 准教授岐阜薬科大学分子生物学研究室福光秀文 准教授岩手医科大学法医学講座出羽厚二教授は拒絶反応の起きにくい特殊な白血球型を持った人のもの。グループが11〜12年に実施した動物実験では、この幹細胞を損傷した部分に移植したところ、7週間後に半数のラットが、完全に麻痺していた後肢に体重を掛けて、歩けるようになるなど、一部の運動機能が回復したという。■臨床研究開始までのタイムスケジュール(案)H.24H.25H.26H.27H.28岐阜大学倫理委員会に申請書を提出CPC定期検査(GMP運用スタート)厚生労働省への届け出と研究内容修正GMPグレード歯髄幹細胞収集開始(2ローカスホモ以上)サル免疫拒絶実験サル脊髄損傷モデル実験ラット脊髄損傷モデル実験臨床研究スタートH.28(2016)年からのスタートを目指す(10年以内に実用化)岐阜薬科大が2011年から12年にかけて実施したラットによる動物実験で歯髄幹細胞の治療効果が確認された。

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