Dentalism No.12
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11うというケースも出てくるでしょうね。また、近い将来、口腔内光学印象の技術革新により、模型製作などの操作が省略され、デジタルデータの送受信のみで補綴物の製作が可能となることも期待されています。一方で多くのシステムが導入される中、フレームの選択基準や設計基準、色調選択などについて、より詳細な基準の確立も求められています。――歯科技工士の役割も大きく変わらざるを得ないようですね。末瀬 まず、最終調整や高度な色調再現を行うための技術レベルを上げることが要求されるでしょうね。CAD/CAMのオペレーションにも習熟することが必要ですし、コンピュータを扱うためには、最終的にどういうものを作るのかというイメージも大事です。まだまだ人の手や感覚による仕上げ、技能が必要とされる部分が残っています。教育現場でも学ぶ範囲は大きく変わってきています。もちろん、それ以前に学校の先生にも勉強していただく必要があります。今は厚生労働省などの協力も得ながら、講習会なども積極的に行っています。――世界の歯科技工の現場、CAD/CAM事情について少しご紹介いただけませんか。末瀬 中国などは、2000人、3000人という歯科技工士を抱えた技工所がたくさんあります。そこにはCAD/CAMが50台、60台と並んでいる。大規模な技工所は非常にオートメーション化され、素晴らしい供給体制が整っています。今や、アメリカの技工物の約半分は、中国に発注されていると言われています。その一方で、日本の歯科技工士のレベルは世界トップレベルと言われ、実際、アメリカやカナダ、ドイツなど、歯科医療の最前線で活躍している日本人歯科技工士も大勢います。しかし、韓国や台湾においても歯科技工制度や教育内容が整備されてきていますし、中国では80校ほどの技工学校が出来てきています。日本も世界のトップリーダーを堅持するためには、歯科技工士国家試験の全国統一化や修業年限の延長などさらにステップアップしていかなければなりません。歯科医療の現場を、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士の3者の立場から見つめ、教育という側面からバックアップしている末瀬一彦先生がとらえるCAD/CAMの世界。今、歯科医療の現場に求められているのは、精密鋳造の導入以来の大きな革新を、遠い将来のこととして考えるのではなく、既に歯科医師会や材料メーカーなどを巻き込んだ、大きな流れとして受け止めることが急務であろう。身で技工物を作ることもできますが、今は大学での技工実習も少なくなっているので、若い歯科医師は自分では作れない。ある面、これは非常に危ない状況ですが、CAD/CAMの登場により、歯科技工現場の作業環境が改善され、生産性も向上し、高精度・高品質な修復物を安定的に供給する体制が整い始めているのは事実です。――昨今では、CAD/CAMセンターなども数が増えてきているようですが、今後、CAD/CAMの導入はどのように進んでいくのでしょうか。末瀬 CAD/CAMはセットになると一台1000万円程度するものもあり非常に高額ですが、CADとCAMは切り離すことができます。スキャニング・CADだけであれば300万円程度で購入できるものも出てきました。日本では、1~5人という少人数の技工所が、全体の3/4を占めていますので、小さな技工所であればCADのみの導入も考えられます。データを送って削り出しの部分は、メーカーなどが請け負にも、臨床家や研究者、開発企業などが情報交換できる場としても学会が必要だと思い、昭和大学の宮崎隆教授らと一緒に、学会を発足いたしました。――CAD/CAMの登場により、日本の歯科技工士の減少に対する不安は解消されるでしょうか。末瀬 現在、日本では50歳以上の歯科技工士の就業率は50%以上となっており、30歳以下の就業率は7%以下です。10年前は72校あった歯科技工士学校も今は53校に減り、毎年2800名ほどの卒業生も1200名程度の減少し、2800人ほどいた学生数は1200人程度に落ち込み、全国の技工士学校の充足率は約7割という状況です。50歳以上の歯科医師は、大学でも技工を学んでいましたのでご自CADコンピュータを利用した設計システムCAD(Computer Aided Design)により、模型がスキャニングされ歯冠形状の基本データが3Dで作られる。CAMCADによりスキャンされたデータを切削するCAM(Computer Aided Manufacturing)システム。精度の高い切削加工により単冠からブリッジまで短時間での加工が可能に。削り出されたジルコニアフレーム。 「激変する世界の歯科技工現場」

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