Dentalism No.12
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8どこかで必ずほころびも出てくる。10年後、20年後はもちろん、一生、患者さんの面倒を見るというスタンスでやらないと後で裏切ることになる。だから私は治療の中身をオープンにして、患者さんと情報を共有して、メインテナンスの継続にも協力いただく。そして歯を長持ちさせるようにしています。開業して25年になりますが、当時、歯周病で歯が抜けそうだった患者さんが、25年間歯を維持してくれていることが自分の喜びであり、私が生きている価値を高めてくれることだと思っています。――先生のモチベーションは何により維持されているのでしょう。宮本 出会いでしょうか。若い受講生と会ってもエネルギーをもらいます。月に2、3回は研修会に出向いて行きますし、自分の講演も含めて1年間に40週ほどは土日がないので、ここ5年ほどは、盆暮れ正月、ゴールデンウィーク以外は、ほとんど無休ですが、好きでやっているので、出掛けて行くことそのものがストレスの発散にもなっている。教えた人たちが成長し、海外やいろんな学会で頑張っている姿を見るのも嬉しいことですし、自分自身も更にチャレンジしようと思える。パソコンを開けば、海外の歯科医師ともすぐにコミュニケーションがとれますし、海外の学会や講演会で情報交換することも刺激になります。――日本臨床歯周病学会は最も活気のある学会として評判が高く、この6月の設立30周年記念大会も盛況であったと聞きましたが、理事長として今後取り組んでいきたいことは。宮本 今、メディアではインプラントバッシングが行われています。「歯の喪失原因の第一位は歯周病ですが、そこにインプラントを入れたとしても、歯周病になりやすい状況や環境が改善されなければ、インプラントも歯周病になる。そうすると、患者さんからも信頼を失うし、世の中、社会からも信頼を失う」これは、私が10年前にOJの講演で話したことですが、それが今、現実のことになってしまっていて非常に残念です。日本臨床歯周病学会では、歯周病で歯をなくした人、歯周病患者のためのインプラントのガイドラインを作って、警鐘を鳴らしていこうと思っています。それが、インプラントが生き残っていくための、一つの大きな道ではないかと思うからです。――インプラント以前に「再生療法」で歯周病を完治に導いている数々の症例に驚かされます。宮本 人間は長らく歯周病と闘ってきて、20世紀後半になって、やっと「再生療法」が入ってきました。私は「歯周再生療法」が、今後、21世紀に非常に多くの患者さんを助ける治療法だと思っています。患者さんの中には、本当にひどい状態で、来院される方がいますが、インプラントになる前に救える歯は、実はまだまだたくさんある。歯槽骨が吸収して歯がグラグラになった患者でもエムドゲインで治療し、すごい戻り方をした症例がたくさんあります。歯並びが悪Dr.Nevinsらから学んでこられたことは画期的でした。やがてIADS(The Institute for Advanced Dental Studies)の日本のブランチとしてJIADSが発足し、私はぺリオ・補綴コースの第一期生として参加しました。歯周病にしても、インプラントにしても、この20~30年は本当に進歩しているので、我々も立ち止まっている暇がありませんでした。ずっと学び続けていないと前進はおろか現状維持すら難しい。――診療は自費のみですか?宮本 両方あります。もし自分が患者なら保険料も払っているんだし、少しぐらいは使いたいと思うでしょう? 検査や基本治療など、簡単なものは保険でやります。でも患者さんには、ベストな治療はどういうものかをしっかり説明しているので、途中から(自費に)切り替わることが多いかな。常に自分が患者ならどうして欲しいか、という思いでやっています。――患者さんと長いお付き合いをする上で大切なことは何でしょう。宮本 やはり信頼関係です。治療結果というのは、すぐには出ないもの。歯は放っておけば悪くなります。最初に手を抜いていると、ましたが、そこでたまたま出会ったのが後のアメリカ歯周病学会で会長になるDr.Nevinsでした。この点と点とを線で繋ぐような出会いによって、人生というのはここまで変わるものかと思っています。今の自分があるのは、メンターである小野先生のおかげです。――大学を卒業した瞬間から歯科医療が劇的に進化する様子を目の当たりにされてきたのですね。宮本 大学を卒業した1983年といえば、歯周病はまだまだ出口が見えない時代で、開業医はあまり手術などしていませんでしたし、症状を食い止め、悪化させないことが治療という時代でした。第一次インプラントブームもありましたが、当時は、あまり永続性というか成功率も高くなかった。そういう背景の中、小野先生がボストンの歯周病専門医である月に2回、患者さんのために無料セミナーを実施。歯周病に対する正しい知識の提供をおろそかにせず、地道に続ける医院姿勢には脱帽。高度な手術を要する患者さんとの出会いすら自分が挑戦すべき課題として取り組む。歯周病、インプラント治療における世界標準の施術への信頼は高い。

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