Dentalism No.11
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24タバコを吸うと虫歯になる?受動喫煙動物実験でう蝕誘発を確認。喫煙によって歯周病が悪化する、誘発するという研究は多数報告されているが、大阪歯科大学の王宝禮(おう・ほうれい)教授らの研究グループは、動物実験で受動喫煙ラットを作成し、う蝕の誘発に成功した。4千種類以上の化学物質が含まれているタバコ煙は、約200種類が有害物質、60~70種類ががん性物質と言われている。喫煙が歯周病やう蝕のリスクファクターであることが知られているものの、直接的な原因は明らかにされていない。王教授は、う蝕モデルラットにタバコ煙を曝露し、う蝕と喫煙の関係について解析。実験では、1日3回、1回に10本分のタバコ(ハイライトを使用)か論文は欧文科学誌『Caries Research』 に発表された。大阪歯科大学歯科医学教育開発室王 宝禮教授ら発生する煙を8分間曝露した。曝露開始から7日間、う蝕原因菌であるミュータンス菌の懸濁液を1日1回投与。さらに実験期間中は粉末の高スクロース食およびスクロース水を自由摂取させた。30日後に刺激時唾液を採取し、唾液量とコチニン濃度を測定、唾液量の変化とタバコに曝露されていることを確認。上顎臼歯頬側面から歯垢を採取して、う蝕活動性試験を行った。31日後には、顎を摘出して、う蝕検知液で染色された部分をう蝕とした。結果、右上の写真から、コントロール群(Control)、曝露群(CS)と共にほぼ全ての裂溝がう蝕になっていたが、曝露群のう蝕面積が大きい傾向が見られ、喫煙がう蝕を誘発する可能性が示唆された。王教授は「う蝕の進行は、喫煙の有害物質が唾液分泌障害を誘発し、再石灰化機構の障害、唾液中の抗菌因子の欠如によるミュータンス菌の増殖に起因する可能性がある」と考察。虫歯予防の観点から喫煙に警鐘を鳴らす研究結果としても、注目度が高い。身近な飲食物が歯を溶かす酸蝕歯。食事習慣や歯磨きの見直し必要。生活習慣が如実に反映される酸蝕。近年、日本では食生活習慣の変化に伴い、市販飲料の約70%が、エナメル質が溶けだす臨界pH5・5を下回る数値を示し、酸蝕歯は見逃すことのできない問題となってきている。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の北迫勇一(きたさこ・ゆういち)助教によると、酸蝕歯の病因は、現在では飲食物からの外因性因子が主流。一例として、黒酢原液(pH2・7)を毎晩飲み続け、上顎前歯部における歯の痛みを訴え来院した症例がある(図1)。上顎前歯部は削ったかのように溶け、同部口蓋側では神経が露出しかけている。また、臼歯部では金属修復物周囲で歯が溶け、修復物が浮き上がったような状態に。体によいと思っていた食生活習慣が、実は歯に悪かったという事態に多くの患者が驚くという。酸蝕歯予防では、多方面からのアプローチが求められる。具体的には、①食生活習慣の見直し、②酸性飲料物を摂取直後の歯磨きをさける(酸性飲料物摂取直後はエナメル質表層が軟化している可能性がある)、③適切な歯ブラシならびに歯磨き粉の選択(硬い毛質の歯ブラシおよび粗い研磨剤配合歯磨き剤は要注意)、④中性飲料の併用(酸性飲食物摂取後は中性飲料で口をすすぐ)、⑤デンタルガムの活用(図2)などが挙げられる。歯科医師が早期段階から介入していくためには、患者の健康意識や生活スタイルおよび嗜好品を把握する必要がある。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科う蝕制御学分野北迫勇一助教図1:黒酢に由来したと思われる症例(a:正面観、b:上顎口蓋側面観、c:左上臼歯部正面観)図2:フッ素およびカルシウム配合ガムabc

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