Dentalism No.10
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9スが数多くありました。私は一般的と思われていることについても「実は違うんじゃない?」と疑う癖がついていたので、保険で作った修復物は合う確率が高くて自費のもののほうが合う確率が低いなんて、どこか理論がおかしいに決まっていると言ったんですが、主人は世界中の偉い先生がみんなやっていて、理論に基づいてやっているんだからおかしいはずがない、技工士がバイトをつけ間違えたんだと言い張るわけです。それじゃあ、自分たちで調べてみようということになり、買える範囲で何百万という投資をして器械を買って調べてみました。そうには、教科書や教育、国家試験まで変えて欲しいと思っています。――体型といえば、日本人と欧米人では随分と異なりますが、歯の形も異なるのでしょうか。筒井 実は違います。狩猟民族の欧米人は歯が尖っています。農耕民族で穀物や繊維性のものを擦り切るように食べる日本人とは歯の使い方も異なります。ですから、欧米から入ってきた咬合理論で歯の形を作っても日本人は噛めないということが起きる。過去に、主人が当時の新しい理論を持ちこみ、そのまま施術しても噛まない、合わないというケーしたら理論の方が間違っていた。主人も納得です。技工士は冤罪だったのです(笑)でも、これは私一人が矯正をしていてもわからなかったでしょう。主人が一般臨床をして、習ったことを精密にやって、うまくいかないところは私がそばで見ていて検証する。主人がいなければ「おかしい」と気づくこともなかったと思います。――故・昌秀先生の天才的な臨床の美しさは、ご本人を知る方以外にも伝説のように語られていますし、アメリカの歯周補綴の権威モートン・アムステルダム先生も、筒井デンタルチームは世界一と絶賛されていますが、一番身近にいた照子先生から見て昌秀先生はどういう方だったのでしょうか。筒井 オペでも何でも、それはきれいでしたね。本人は天才と言われるのを嫌い「努力しているんだ」と言っていましたが、やはり天性の器用さというものはあったと思います。とってもわがままで子供がそのまま大人になったような人でしたが、私は、人として優しくて常識的であることよりも、臨床が上手くて、歯科医として優秀で歯列や咬合に大きな影響を及ぼすと考えられている、姿勢や態癖などをしっかりと把握することが、適切な治療を提供するためには必要不可欠と考えている筒井歯科医院では、全身撮影が可能な写真室を院内に完備している。照子先生は昌秀先生が亡くなった際に、その遺灰で作られるメモリアルダイヤモンドをオーダーし、1年がかりで仕上がったペンダントを肌身離さず身につけている。ラミネート補強した昌秀先生の写真も常に持ち歩いている。筒井照子(つつい・てるこ)1945年山口県出身。1970年九州歯科大学卒業後、1975年まで九州歯科大学矯正学教室に在籍。1975年北九州市八幡西区にて開業。1980年学位取得。日本矯正歯科学会 認定医、昭和大学歯学部兼任講師、筒井塾・JACD・咬合療法研究会主宰■ 筒井歯科医院 福岡県北九州市八幡西区折尾3-1-5 ☎093-601-8181ありさえすればよかった(笑)理論展開する私とは対照的に、主人は手が先に動くような人で、ある面、水と油のように見えていたかもしれません。千何百人と集まっている講演会に二人で登壇していても「いや、それは違うだろう」「いいえ、そうじゃないでしょう」と始めてしまい、見ている人はケンカが始まったのかとハラハラしたようですが、私たちは自宅でもしょっちゅう議論していたので普通のことだったんですけどね。アプローチが違うだけで、気づきもあれば、勉強になることもとても多かったです。――まさにお二人が筒井塾の両輪だったのですね。筒井塾のフォローアップコースとして始めたJACDも来年20周年を迎えられ、ますますの飛躍が期待されるところですね。筒井 私が矯正と咬合を教えている咬合療法研究会も、来年10周年を迎えますし、主人が教えていた外科や形成、印象のメンバーを両方あわせると1000人ぐらいのグループになるので、一緒に「日本包括歯科臨床学会」を立ち上げようかと思っています。

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