Dentalism No.10
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8論文がなぜ正しい?」と返ってくる。負けず嫌いというわけではないのですが、私もそういう議論がきらいじゃなかったので食いついていきました。先生が退官される最後の1年間は秘書にしていただき、特別なことがない限り、毎日車で送り迎えし、食事も一緒という生活でしたが、その間も「なぜなんだ? どうしてなんだ?」の繰り返しでした。本当に勉強させていただきました。――照子先生の「なぜ?」によって改善した症例があるということは、逆に「なぜ?」がないために、依然として解決されていない疾病もあるということですね。筒井 現代人は食生活をはじめとする生活習慣が変わってきたことにより、疾病の種類も変わってきています。歯科でも軟食によって顔が逆三角形になり、顎が小さくなった現代人の叢生の増加を目の当たりにしています。顔が小さくて細いと、気道や鼻の孔も狭くなり酸素があまり入りません。そうすると苦しいので気道を確保しようと猫背になる。でも、歯の凸凹だけを見て抜歯して矯正したりすれば、もっと口の中が狭くなって具合が悪くなる人がいます。本来は顎を広げてあげないといけない。反対咬合も上の顎に合わせて下を下げるのではなく、上の顎を出さないといけない。30年、40年前の矯正ではよかったことも、現代人には合わないこともたくさんあるんです。疾病の種類は時代背景で変わってきます。そこが遅れていて昔ながらの治療をするからトラブルが起きる。そういう患者さんが押し寄せてきています。――咬合ひとつの問題をとってみても、その人の体型や食習慣、ライフスタイルなど様々なことが因子となる可能性があるのですね。筒井 この20年間の日本人の変化の中で、下顔面と中顔面という私たちの守備範囲がほかの医科と比べても最も変わってきている。今こそ「なぜ?」を考えなければならない。そこを考えずに何十年前と同じアプローチをしていては、問題が出てくるのは当然のこと。歯科界の遅れをとりもどすため――照子先生は、なぜ「なぜ?」と思うようになったのでしょう。筒井 それは横田(成三)先生の影響でしょうね。九州歯科大学を卒業して41年になりますが、卒業後5年間、そばで矯正を学ばせていただきました。横田先生は四十数年前に、既に「これからは機能だよ。力だよ」とおっしゃっていました。そして、何かにつけて「なぜなんだ?」「どうしてそれが正しい?」と問われました。科学的にその正しさが証明されているような治療法についても「なぜ? どうして?」と尋ねられる。そうすると私も図書館で調べて論文やなんかを引っ張り出してくるのですが、更に「その歯科は機能障害の分野がとっても遅れています。歯の表面は知覚がないので、簡単に削られがちなのかもしれませんが、原因にいきつかないまま削るなんて、心臓外科で詳しくはわからないですが、とりあえずちょっと心臓あけてみましょう、という行為に等しいわけですよ。修復が間違っているわけではないけれど、「なぜ壊れたか」がないままではいけないんです。顎関節症にしても、原因がわからないままスプリントを入れると歯が沈み込んでよけいに悪くなる場合がありますが、それはやっている先生が悪いのではなく、そういうことを教えてくれる教育がなかったんです。3階のCT室には、ファインキューブとマーキュレイ12型を設置。ファインキューブはインプラントや外科治療だけでなく、顆頭の形態を把握するためにも使われている。2階のレントゲン室にはCTのほか、パノラマ・セファロ撮影用として、トロフィーパンプラスを導入しているほか、デジタルレントゲン室が2箇所ある。

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