Dentalism No.9
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デンタリズム・スペシャル対談7あなたちょっと磨いてくれない?」って言って子供に磨かせるそうです。その後で「あなたも自分で磨いてごらん、でも奥の方はお母さんだって無理なんだから、あなたも無理でしょう。だからお母さんにもちょっとやらせて」っていう方法をお母さんが見つけてきてくれて。これは子供を育てている現場から出てくるものだと思いましたね。その瞬間、お母さんが僕の先生になる。そういった教え、教わる関係というのが本当の保健指導のあり方だと思いました。清水 患者さんに知らないことを知ってもらったり、コミュニケーションを深めたりすることは、とても大切なことですよね。僕も歯の治療をした患者さんが「銀歯がとれた」と言ってやってくるのですが、患者さん自身が知識もなく、意識や環境を変えずに同じ生活を送っているだけではダメだと思って、スライド会(無料の歯科セミナー)をやるようになりました。最初は、患者さんの肩をたたいて「夜の八時からなんだけど来てね」って言ってまわって。点数にも何にもならないんですけどね(笑)ブラシを持たせ、また磨きの介助(仕上げ磨き)をさせるようになるか。その方法をうまく見つけられずにいたときに、あるお母さんが「いい方法を見つけた」と言って教えてくれたんです。それは、子供をそばにおいて、子供なんか気にしないという素振りで、まずお母さん自身が自分の歯を一生懸命磨くんだそうです。子供はお母さん何しているんだろう? と関心を持つわけです。その後、お母さんが自分の口をあけて見せて「今、お母さん歯を磨いたんだけど、奥の方は自分では最後までキレイに磨けていないから、でもマスクを外して話をするようになると、患者さんとも近くなるし、信頼関係も深くなり喜ばれる。喜んで欲しいことを増やしているうちに、会社も経営することに。今も「患者さんと先生に喜ばれたい」がキャッチフレーズになっています。家族の喜ぶ顔が見れると嬉しくて癒されるので、お盆や正月にたまの休みがとれると、一緒に旅行にでも行きたいと常々思っているのですが、この頃ははなかなか実現しませんね。大久保会長は土日もなく、日本全国を忙しく飛び回っていらっしゃいますが、静岡の医院はどなたかが継がれていらっしゃるのでしょうか。大久保 父の代からの歯科医院ですが私の代で終わりです。娘が二人いますが子供の頃に「私たちはパパのあとは継ぎません」って宣言されました。ある日、突然、夜の11時頃、2階の子供部屋から降りてきて「パパお話があります」ってかしこまるもんだから、「何?」って聞いたら「歯科医院はつがなくていいですか?」って言うもんだから「いいよ」って言って、子供の話だから、いずれ考えが変わるかもしれないと思っていたら、そこだけ変わらなかったね(笑)清水 忙しく働いていらっしゃる姿が大変そうに見えたのかもしれませんね。大久保会長は若い頃から歯科医師会の仕事にも深く携わってこられたようですが、外から見ていたときと、内側から見るのでは見える景色は違いましたか?大久保 日本歯科医師会に入ってみて、県の歯科医師会の会長と異なると思ったのは、医療というのは国の政策なので、国、特に政府と政策協議をしなけれなならないという点でした。資本主義の国では価格は市場が決めますが、医療費は国の政策なので国が決め、僕らが決められない。でも、そのことがまずいことなのかというと、実はそれによって国民が北海道から沖縄までどこで倒れても、歯が痛くなっても、どこで歯がとれても、同じ価格で国民が安心して医療を受けられる。この平等性、公平性、公正さ、こういうものは国が保障しないとできない。市場に任せることはできない。それが医療の大切さなのです。しかし、そうは言っても国が決める価格というものが、我々の考える歯科医療の評価と、あまりにProle 大久保満男(おおくぼ・みつお)1942年静岡県出身。1966年日本大学歯学部卒業。1967年25歳で歯科大久保医院開設。静岡市歯科医師会会長、静岡県歯科医師会会長、静岡県歯科医師連盟会長などを経て2006年より日本歯科医師会会長を務めこの春3選を果たす。 「日本歯科医師会は政府に対してしっかりと歯科医療の大切さを 言い続ける役割がある」

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