Dentalism No.9
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1今も昔も「女性が結婚したい男性の職業」の上位に輝く歯科医。もてるのはいいが結婚を迫られるのは真っ平と、妻子がいると偽って浮名を流す、独身歯科医が巻き起こす騒動を描いたのがこちら。ニューヨークのとあるアパート。ガス栓をひねって自殺を図ったトニーは作家志望の青年イゴールに助けられ、優しい彼の言葉に自殺の原因を語り始める。「五番街で開業する歯科医のジュリアンに夢中なの。でも彼はプレイボーイで、おまけに奥さんと子供がいて、結婚できないの」金髪のショートヘアに少し垂れ目の大きな瞳。小鹿のような長く美しい脚。トニー役のゴルディ・ホーンのキュートさといったら!こんな可愛い娘に、そこまで惚れられるジュリアンって?と、観客の注目を浴びて登場するのはウォルター・マッソー。ふむむ?慌てて駆けつけたジュリアンは、彼女の真心を知って、ついにプロポーズ。しかし、今度は自分の嘘に苦しむことになるのです。「奥さんに会って謝りたい」と言うトニーを納得させるため、窮地に陥ったジュリアンがすがるのは助手のステファニー。トニーの倍はありそうな立派な骨格のイングリット・バーグマンが演じるステファニーは、彼女の机に飾られたサボテンのよう。医院の仕事だけでなくジュリアンの身の回りの世話までこなす、仕事きっちりの堅物女性なのです。自業自得よと渋りながらも妻役を演じてくれたステファニーでしたが、彼女の毅然とした態度に感銘したトニーは結婚をためらい、焦るジュリアンは「妻には男がいる」と嘘の上塗りをするはめに。 断固お断り!とは言ったものの、無痛治療が売りのジュリアンが患者に悲鳴をあげさせるのを見かねて、浮気妻の役を引き受けたステファニー。役になりきろうと、男にベタベタするステファニーを見て、「奥様は傷ついているのね…」と、益々落ち込むトニー。焦りまくるジュリアンはミンクのストールを贈るのですが、悲しいかな世代のギャップ。「趣味じゃないわ」と、トニーはそれをステファニーに送り、喜んだ彼女は早速身につけてダンスに。そこでトニーとイゴール、ジュリアンの3人に鉢合わせしたステファニーは「デンティスト」と名づけた即興ステップでイゴールを誘って踊り、それを見るジュリアンとトニーはなぜか不機嫌に…青いドレスで優雅に微笑むバーグマンは絶頂期を思い出させる美しさ。さすがです!翌朝、ステファニーはトニーを訪ね、全てがジュリアンの嘘から出たことを告白。トニーの「私はイゴールと、あなたはステファニーと結ばれるべき」と云う言葉に、ようやく自分の思いに気づいたジュリアンはステファニーを抱きしめ、彼女のサボテンにもピンクの小さな花が一輪咲きました。『釣り合わぬは不縁の基』とか。似合いの二組が誕生してハッピーエンド。しかし、普通のオジサンにしか見えないマッソーと、当時50代半ばだったバーグマンとのラブコメを成立させてしまうハリウッド映画って、スゴイ!文/桂木良子歯科医は映画がお好き?モテる男もつらいのだ!「サボテンの花」1969米国 ウォルター・マッソー イングリット・バーグマン ゴルディ・ホーン(アカデミー賞助演女優賞)イラスト/楮本恭子桂木良子/東京都出身。著書には、読んで美味しい映画のお話『シネマレストラン』がある。趣味は映画とスペイン語。コーヒーと犬が好き。

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