Dentalism No.9
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25抜いた歯の歯冠で歯冠修復治療。割れない処理で「天然材料」のメリット活かす。■天然歯による歯冠修復■インレーの修復東北大歯学部が臨んだ遺体の身元確認。医療人としての自覚と士気も高く。抜歯した親知らずなどを凍結保存しておき、歯科治療時の歯冠修復に使うという研究が進んでいる。樹脂やセラミックなど、歯冠材料の進歩は著しいが、機能や美しさの面で「天然歯」はよりメリットが大きい。広島大病院を中心としたグループが、この天然材料を使った歯冠修復の治療に取り組み始めた。きっかけは、広島大のベンチャー企業が2004年に始めた「歯の銀行」。親知らずの治療や歯列矯正で抜いた歯を特殊な技術で保存しておき、自分の歯を失った際に移植に用いるシステムだ。抜歯の直後に処理をすることで、歯根の周囲にあって血管や神経が豊富な組織「歯根膜」が維持され、“噛みごたえ”3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災。東北大学歯学部では、教員、研修医、大学院生が一丸となって身元確認業務に協力している。震災の3日後には全体ミーティングが行われ、身元確認業務へのボランティアが募られた。応募数は教員76名、大学院生52名、医員19名、研修医27名の合計174名。「若い人が自ら手を挙げてくれたことが嬉しかった」と、同大学院歯学研究科の若森実教授。「日本の歯科医学の理念と教育が間違っていない証であると確信できました」と続ける。現場は遺体安置所のすぐ隣り。暗い体育館の中で遺体に顔を近づけて、中には開口器を使っての作業となった。カルテが流さが得られることが魅力という。しかし、歯根や歯根膜が移植に問題があるケースが一定の割合で存在する。こうした歯は通常、処分されてしまうが、健全な歯冠部だけでも利用できないかと考えて始まったのが、抜いた歯を使った歯冠修復。虫歯の型を取った後、保存していた歯を合うようにコンピューターを使った装置で成型する。クラウン・インレー、ベニアなどあらゆる成型が可能という。後は、ドナー歯の強度を増す処理をし、それを歯科用接着剤で患者に装着するだけ。これまでにこの方法で治療が行われ、治療後2年以上経過した歯も、問題なく良好な状態という。他との差別化を図る治療法の一つとして、今後取り入れる歯科医院が増えていきそうだ。れてしまっている場合もあるが情報は多いに越したことはない、と一体一体に向き合ったという。また、周囲のさまざまな協力も欠かせなかった。コンビニもなく、家に備蓄もない人が身元確認に行く際には、大学付属病院などからの食事のサポートがありがたかった。懐中電灯や電池などの備品不足は、他の歯科大学や歯科材料メーカーからの援助によって乗り越えられたと振り返る。「ご遺体をいち早くご家族の元へお返しすることは、残されたご家族のケアにもなるのではないでしょうか」。医療に携わっている者として、身元確認も医療の一部だと言い聞かせながら、現在も日々できることが続けられている。お問い合わせ/tenzan@hiroshima-u.ac.jphttp://www.teethbank.jp/天然歯 ※金属アレルギーもOK人工物(金)DentalismNews &Topics

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