Dentalism No.9
19/36

17きた治療の結果を分析して評価する姿勢が医療者には必要だと思っています。日吉歯科では患者さんの治療の全記録を残していますが、これらの膨大な臨床データを分析して、常に患者さんにフィードバックしています。エビデンスは歯科医療に十分に生かされなくてはなりません。日吉歯科のデータからもメインテナンスの有用性は実証されていますから、こうした取り組みが日本中に広まってほしいと思います。 ――日吉歯科では成人と小児の診療室が完全に分かれていることも驚きでした。熊谷 入口や待合室も分かれていますからね。日吉歯科の目標を達成するためには、健康な子どもたちを沢山育てる必要があります。小児の診療は成人と全く異なる視点と対応が必要で、専門性の高い医療です。また、ここで行われている小児歯科医療は、従来の小児歯科とは根本的に発想が異なり、「成長期の歯科医療」という新しい枠組みを考え実践しています。つまり、いわゆる小児歯科、矯正歯科、予防歯科を子どもたちの成長やリスクに合わせて一体化した医療体系です。歯科医師はもちんですが、衛生士やスタッフも専門性を持って対応しています。そうした取り組みを続けてき結果、日吉歯科でメインテナンスを続けてきた子どもたちのカリスフリー者率やDMFTは極めて良好私の人生にも限りがあるので、全てを見届けることは出来ない。それでも、生涯自分の歯で食べることが全う出来る人をどの程度増やすことが出来るのかということがわれわれの挑戦であり、一番の課題です。健康な歯の価値は本当に高いのです。私は多くの人たちにそのことをよく理解してほしいといつも願っています。悪くなってからでは遅いので、健康を維持することへの投資が当たり前になってほしいと思いますね。――日吉歯科ではまた新しい取り組みが始まるとお聞きしましたが。熊谷 日吉歯科では開業から30年余、予防に立脚した歯科医療を推し進めてきましたが、まだまだ足りないものがありました。な数値を示しています。――乳幼児の頃からの予防とメインテナンス習慣の重要性、日吉歯科のメディカルトリートメントモデルをもっと多くの人たちに知ってほしいですね。熊谷 小児歯科が一番大事です。特に20歳までが。だから日吉歯科では小児歯科にも大きな投資をしてきました。確かに経営的には大変なのですが。熊谷崇(くまがい・たかし)1943年東京都出身。1968年日本大学歯学部卒業。1971年横浜市日吉にて開業後、1980年山形県酒田市日吉に移り現在に至る。スウェーデンのマルメ大学名誉博士、日本大学客員教授、新潟大学、東北大学などの非常勤講師も務める。■日吉歯科診療所山形県酒田市日吉町2-1-160234-22-1837http://www.hiyoshi-oral-health-center.org/患者さんの中にはこれまで以上に専門性の高い治療が必要だったり、そうした医療を要求する患者さんもいます。そのような患者さんに対応することを目的に、米国で専門医資格を得た補綴専門医と歯周専門医が診療を開始しています。大学でも米国の専門医資格を持った歯科医師が2人もいるところはそうそうないと思いますので、このことは地域医療においても画期的なことなのです。彼らの診療は誰にでも必要というものではありませんが、日吉歯科の総合力としてはまた厚みのある態勢になりました。専門医の存在が、日吉歯科全体のレベルアップに繋がることを期待しています。専門医の診療がスムーズに行われるように、現在診療所の増設工▲カルテ庫壁の厚さが20cm以上はあろうかという蔵の中が、伝説のカルテ保管場所。11万人の酒田市民のうち、約25000人のカルテが緻密に管理されている。患者さんが例え10年ぶり20年ぶりに来院しても、ほぼ3分以内にカルテが出るという。60名程度が一堂に会することができる広いセミナールームでは、スタッフの研修をはじめ、海外の研修、日本の歯科医師や歯科衛生士を集めたセミナー「オーラルフィジシャン」コースなどが開催されている。ここは歯科教育、人材育成、啓蒙活動のステージとなっている。事も始まりました.これから本格的に機能してゆくようになるはずです。歯科の総合病院ではないですが、予防から高度の先進医療まで、また、赤ちゃんから高齢者まで、健康で過ごしたいという多くの方々のニーズに応えてゆく態勢が出来てきたように思います。▲スタッフ集合写真

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です