Dentalism No.8
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 マウスの歯の一部を体外で培養し、完全な歯を再生することに世界で初めて成功したと、日本歯科大生命歯学部の中原貴(なかはら・たか)教授と同大新潟生命歯学部の佐藤聡(さとう・そう)教授の研究チームが発表。本成果は、昨年10月の日本口腔外科学会において、最優秀賞を受けた。 中原教授らは5年ほど前から、歯の再生を現実の医療として実現するべく研究に着手。歯根の再生を目的として、抜歯した智歯から得られる歯根膜細胞、市販の医用材料、独自開発した培養液からなる新規培養システム「器官再生法」を開発した。今回、この器官再生法で歯根が形成されていないマウスの歯冠を培養した結果、1ヵ月でほぼ完全な形の歯が再生。歯根だけでなく歯の土台となる歯槽骨と歯根膜も形成された。再生した歯をマウスに移植したところ、抜け落ちることなく定着したという。 この成果は、従来の歯科用インプラントとは異なり、将来の細胞・組織からなる新しい再生歯〝再生歯インプラント〟への実現につながる大きな一歩だ。そして、歯周組織付きの再生歯根には、新たな歯科医療を提供できる可能性が秘められている。医療応用に向けて進む研究に今後も注目したい。 朝日大学と明海大学が、23年度の入学生の学費を1888万円と大幅に引き下げるニュースが業界に激震を走らせている。全国の私立大学・歯学部の学費平均は6年間で2932万円だから1000万円以上の開きとなる。両大学の初年度の学費は348万円で、私立歯科大学平均の812万円の半額以下、約43%程度なのだ。 しかも朝日大学では、みずほ銀行との提携奨学融資制度により、入学金を除く学費(授業料、施設維持費、歯学教育充実費)の1848万円を上限として融資できる環境も整えている。元本の返済を6年間据え置くため、6年間は利息のみの支払いで済むという。更に利息の負担軽減を目的とした学資借入支援奨学金が給付されるため、在学中は国立大学より少ない負担で学ぶことも可能なのだとか。 右へ倣えというわけではないだろうが、奥羽大学では歯学教育充実費の550万円を廃止。6年間で2700万円かかっていた学費が2150万円となった。私立歯科大・歯学部の定員割れは、大学運営にとっても深刻な問題かもしれないが、それよりも大きな問題は、歯科医師の国家試験で浪人比率が上がっているにも関わらず、私立歯科大・歯学部の過半数の入学受験現場では、合格率が2倍未満どころか、1倍前半という、ほぼ無競争に近い状態で推移していることだろう。 今回の学費の大幅引き下げは、学生選択の幅を広げようとする大学側の最後の賭けなのかもしれない。いずれにせよ、私立歯科大・歯学部の生き残りをかけた戦いは、今後も激化することが予想されるが、本気で歯科医師を目指す学生にとっては、より安く、より良い教育を選択できる時代に入ったと言えるのかもしれない。培養前マウス歯冠培養4週間後マイクロCT像実体顕微鏡像側面像※※**断面像歯冠再生した歯根と歯周組織1000(単位:万円)20003000朝日大学1888万円明海大学1888万円明海大学朝日大学全国の私立大学歯学部の学費平均2932万円日本歯科大生命歯学部中原 貴 教授日本歯科大新潟生命歯学部佐藤 聡 教授■新規培養システム「器官再生法」ヒト歯根細胞膜細胞の足場材料培養液の添加物培養による歯根・歯周組織ユニットの再生。※:再生歯槽骨、 *:再生歯根、 扌:再生歯根膜体外培養で世界初、夢の歯の再生医療につながる開発成功。私立歯科大学・歯学部の学費引き下げは歯科業界に何をもたらすのだろうか。18

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