Dentalism No.8
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ントは一つだけと思っているし、また先生方からみればインプラントはどれも同じだと思ってはいけないし、歯周病で歯を失った人がインプラントを入れた場合、その原因をしっかり見極めないと大変なことになります。 重度の歯周病にかかる人は遺伝する病気の一つでもあるんです。中には歯を磨かなくても全く歯周病にならない人もいるけれど、歯周病の遺伝を持っている人が歯周病で歯を無くしインプラントを入れると、インプラントも歯周病になる可能性が高い。 それが今問題になりつつあるインプラント周囲炎です。しかもインプラントは自分の歯より細菌に対して抵抗力が弱い。インプラントを入れた先生は歯周病の遺伝があるかどうかを確認しなければならないし、もし遺伝があれば、入れた瞬間から自分の歯以上に予防をやらないといけない。 一生涯その人の面倒をみるぐらいのつもりじゃないとね。入れっぱなし、放りっ放しだと、ダメになったら撤去して、また入れる、を繰り返すことになる。 腕の善し悪しにかかわらず、インプラントを埋入する先生が増えてくればそういうトラブルも出てくるでしょう。先生方がそういうことを避けるためにも、患者さんに愛情を持って、生涯、自分の治療と患者さんに責任を持つんだというような気持ちでやってほしいと思います。――それにしても、成人の8割以上が罹患していると言われているにしては、歯周病の啓蒙が足りないように思うのですが。岡本 応えは簡単です。歯周病は老化現象だと思っている人が多い。髪の毛が白くなったり頭が薄くなったりするのと同じで、神様のご意思だと思っている(笑) 患者さんも40歳を超えると80%が歯周病になるというのは、病気ではなく加齢によるものじゃないか、と思っている。 でも、歯周病は間違いなく予防できるものなんです。――先生が学ばれたスウェーデンでは予防が進んでいますね。岡本 確かにスウェーデンでは、むし歯や歯周病は少ないです。20歳になるまではどんな歯科治療も無料です。矯正もです。しかし、その後は治療費が高くなりますから予防が徹底される。 健診の習慣も根付いていて1回の健診で4~5万円かかることもありますが、みんな必ず行っていますよ。――日本は海外と比べていろんな意味で遅れているように思います。歯科医師の水準の違いを指摘する声もあるようですが。岡本 確かに、韓国、タイ、シンガポールなど、東南アジアの歯科医師のレベルは高いです。その理由の一つは英語で書かれた本で授業をしていること。知識レベルは欧米と同じです。 また、韓国などは最近では歯科医師になるために2つの大学を出なければならない。歯学部に入る条件の一つは、大学を一つ卒業していることです。ですから韓国では、歯科医師になりたくてなっている人ですから意識が高い。日本のように親に言われて仕方なくなんていう人はいないわけです。 日本の大学では、未だに進学課程1年、専門課程5年ですが、最初の1年に体育とか、ドイツ語とかやってる場合じゃないですよ。学校の教養課程で英語をもっとやるとかね。――全国の現役の歯科医師にメッセージを送るとすれば?岡本 一言「勉強してください」というだけです。我田引水みたいになりますけど、こういうコースにどんどん出て来て学んでほしいです。必ず刺激になりますから。 歯が健康であれば医療費も抑えられることが明白な時代にしては、我々はあまりにも1本の歯を大切にすることを疎かに、後回しにしてはいないだろうか。いっそ車検より歯検を実施した方が、より多くの人々が幸せになるのではないかと、ふとそんなことが頭の片隅をよぎった。Prole 岡本浩(おかもと・ひろし)1940年東京都出身。1968年日本歯科大学卒業。同年アメリカ空軍病院府中デンタルクリニック勤務。1972年ロンドン大学イーストマン病院歯周病学教室留学。1973年スウェーデンイェテボリ大学歯学部歯周病学教室留学1977年日本歯科大学歯学部歯周病学講師。1982年同大学助教授。1991年奥羽大学歯学部歯科保存学講座・附属病院・教授2010年TOKYO歯周治療センター院長就任熱い講義に聞き入る受講生たち。岡本先生は、世界基準の歯科医療を目指す歯科医院のため、今でも数多くの研修会で指導を続けている。注目の歯科医師インタビュー Star Dentist Interview

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