Dentalism No.7
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映画の中に登場する歯科医は、なぜか変人が多くて恐縮でしたが、今回は大丈夫! なんたって、殺し屋さえも改心させたほどの善人なんですから。 モントリオール郊外で開業している歯科医のオズは、潔癖症でお人好し。妻ソフィの父親が遺した借金返済のために、汚い歯の患者も我慢して必死に働いているのに、ソフィやその母親にまで「あんたがくたばってくれたら、保険金で解決よ」と悪態つかれる毎日。 そんなある日、チューリップの異名を持つ殺し屋ジミーが隣に引っ越してきた。シカゴで17人を殺して逮捕され、司法取引に応じてマフィアのボスを死刑にしたあげく、国外退去となった男と知ってびびるオズでしたが「気のいい歯医者に会ったのは初めてだ」と不敵に微笑むジミーに、なぜか心通じ合うものを感じるのでした。 しかし、ソフィはマフィアにジミーの居所を教えて報奨金をせしめることを画策。嫌がるオズを無理やり飛行機に乗せてシカゴへ。でも善良な歯科医がマフィアの連絡先など知るはずも無く、ホテルに戻ったオズは「奴の居所を教えろ」と大男に襲われるのですが、なぜか白状できません。その後、ジミーの妻シンシアが登場。色仕掛けで迫っても口を割らないオズに心を許し、夫の浮気癖を涙ながらに語る美しいシンシアに、いつしかオズは惹かれてゆくのでした。 翌日ジミーから、オズは自分が試されていたこと、クリニックの受付嬢ジルまでソフィに雇われた殺し屋だったことを聞かされ、がっくり・・・。「オズが善い人なので殺せなかった」というジルは、憧れの先輩ジミーと意気投合。ソフィはまたも行きずりの男に夫殺しを依頼し、ジミーの居所を突き止めたマフィアの一行も到着。 マフィアvs殺し屋vsソフィの雇われ男。深夜の三つ巴の戦いは、ジミーとジルの皆殺し作戦であっけなく終結しました。 シンシアへの愛を告白したオズは、ジミーを怒らせるのですが、ソフィの雇った男が囮捜査の刑事だったことが判明し、窮地に陥ったジミーに、歯科医ならではの解決策を提案して取引。 死んだ刑事の歯を抜いてジミーの歯形に作り変え、他の死体と共に車ごと燃やして、ジミーは死んだことになり、ソフィと母親は殺人依頼で逮捕されました。 シンシアの名義で隠してあった一千万ドルで、ジルと共に悠々自適の生活を送るというジミーは離婚を承諾。ジルは「半分こして逃げよう」とシンシアに持ちかけるのですが、シンシアの答えはNO。それを聞いたジルは「ジミーから二人への結婚プレゼントよ」と、百万ドルの小切手を差し出すのでした。そうとも知らぬオズは「貧乏な歯科医でもいいかい?」とプロポーズ。「なんとかなる気がするわ」と、穏やかに微笑むシンシアを優しく抱きしめるのでした。 二転三転の騙しあい。どれが嘘やら真やら…。ブルース・ウィリスの殺し屋がはまり過ぎの、シニカルコメディ映画でした。桂木良子/東京都出身。著書には、読んで美味しい映画のお話『シネマレストラン』がある。趣味は映画とスペイン語。コーヒーと犬が好き。「隣のヒットマン」2000年米映画監督ジョナサン・リン 主演ブルース・ウィリス、マシュー・ペリーDVDの購入は「デンタルフィット」で。http://shop.dentalfit.net/Dentalism Cinema殺し屋も善人は殺せない!?イラスト/楮本恭子文/桂木良子歯科医は映画がお好き?

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