Dentalism No.7
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 加賀百万石の城下町、金沢。宝暦二年(一七五二年)創業の老舗料亭『つば甚』は、前田家のお抱え鍔師であった三第目甚兵衛が営んだ小亭「つば屋」がその始まり。商いを始めるや藩主はもとより文人、墨客も訪れるようになり、いつしか金沢を代表する料亭として全国に知られるようになる。 今回、裏地さんが通されたのは数多くの賓客が訪れたという「月の間」。紅殻の赤い壁、月を愛でるための書院、藩主から譲り受けた窓枠や、お姫様の丸帯がほどいて使われた棚戸の装飾など、金沢の風雅と粋を凝縮したような室礼。この部屋からの眺望と、もてなしの心に「風光第一楼」の書を残したのは明治の元勲伊藤博文公である。ほかにも、この部屋に残る物語には枚挙に暇がない。 金沢美人と評判の十六代目女将、鍔正美さんの説明により、一品一品料理が進められていく。工芸にも造形の深い裏地さんは吸い物碗に目をとめた。鍔の蒔絵がまぶしく美しい吸い物椀。「今、私どもの代では次の担い手の為の器石川県金沢市寺町5-1-8TEL076-241-2181http://www.tsubajin.co.jp/美味しいものが大好きな裏地さんは実は大の金沢贔屓。今回は、古都の風情漂う金沢の老舗料亭で地物に舌鼓。芸妓さん相手に、お座敷遊びまで堪能してきました。松尾芭蕉が320年前に金沢を訪れた際に句会を開いたという部屋を移築した「吟風の間」。今も大切に手入れされている。(右)【八寸】ごり唐揚・才巻海老・ふぐ粕 (左)せっかく石川を訪れるのだからと絵羽の白山紬をお召しの裏地さん(左)と、薄蘇芳色の訪問着でお出迎えの女将、鍔正美さん(右)。裏地桂子(うらじ・けいこ)クリエイティブコーディネーター。女性誌で執筆、コーディネーターとして活躍後、企業や商品のプロデユースなどを手掛ける。デザイン和ものがコンセプトのブランド「啓子桂子」のプロデユーサーでもある。11月に4冊目の著書『お家ごはんが美味しくなる口福の調味料100味選』(扶桑社)が発行。石川県金沢市野町2丁目24-2TEL076-241-2201裏地桂子の歯談・食談つば甚金沢の老舗料亭とお茶屋で「もてなしの心」に触れる。にし茶屋 美音撮影/濱崎敏彦14

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