Dentalism No.7
13/36

―もっとも特徴的なポイントを教えていただけますか?船越 歯槽骨の骨幅を増やす場合、歯茎の皮を切り、骨を移植して、その上に細胞遮断膜でカバーをした状態で歯茎を再び縫い合わせるのだけど、そのためには予め皮膚を複雑に切り、伸ばして上手く縫い合わせる必要がある。これが患者さんにとって結構な負担となる場合がある。そこで、細胞遮断膜を出したままにしておけないか、と考えたわけ。もちろん、今までの膜とは別物で、口の中に出しておいても細菌がくっつかない。だから途中までしか縫わずに歯肉を全部は被せないのです。これにより、随分と患者さんの負担も軽減されます。―そういう着眼と発想の源は、いったい何なのでしょうか。船越 年間4~5回、海外の学会に出て新しい技術を学び、持ち帰り試してみる。人の真似事かもしれないけれど、毎年毎年、いろいろ改良していこうと試行錯誤しているからでしょうか。 中にはとても真似ができないようなものもあるけどね。最近、驚いたのは頭蓋骨の骨を移植するという話。イタリアの先生だったかな。脳の方は大丈夫らしいんだけど、頭蓋骨はどうなるの? と聞いたら「再生しないかもね」だって(笑)。 でも、人間にとって歯はそれほど大事で、そうまでしてでも噛んで食べたいということですよ。これからも、患者さんの歯を残すため、しっかりとした土台を維持するお手伝いをしていきたいと思っています。―それにしても、9台のチェアごとに、歯科医師と歯科衛生士が一組になって仕事をしている様子は圧巻です。船越 オープンだから隠し事も嘘もないのがいいと思っている。同じ治療は誰がやっても同じ料金。代診の先生も一生懸命治療するし腕もあがる。みんな患者さんは自分の身内だと思って治療していますよ。 人数も多いので、よく「分院を出したら?」なんて言われることもあるけど、僕には目が行き届くこの環境が合っている。家賃も高いし大所帯だから、決して儲かってはいないけれど、でもその分いろんな仕事ができる。国内や海外で勉強したり、それをまた教えたり。大勢いるからこそ、できることもある。―歯科医療も日進月歩。やはり、常に勉強し続けることが大切なのでしょうね。船越 昔は歯を抜かなければならないと思っていたケースでも、今は再生療法により抜かずに済むものもあります。患者さんの歯を残すための選択肢は、格段に増えてきています。 インフォームドコンセントが叫ばれ、セカンドオピニオンとして意見が求められる時代です。歯科医師が自信を持って説明するためにも、ある程度は新しいものも吸収していかないといけないでしょうね。歯学部で学んだ時代のものだけでやっていると、患者さんは敏感だから、知識も技術も経験も上の先生が出てくれば、すぐにそちらに流れてしまいますよ。  歯科医師は過剰だと言われているけれど、過剰がゆえに医院運営が困難になるのか、熱心に歯科医療をやっていないから患者さんが減るのか。僕が見る限り、教育に投資をしている先生、努力して自己研鑽している先生は、うまくいっているように思います。年齢や経験を重ねても学ぶという精神は、患者さんにもきっと伝わるはずです。 取材中、スタッフの何人かに船越先生について尋ねたところ「とにかく明るくて優しい」、「仕事が大好きで、患者さんが大好き」と称賛の嵐。誰彼を問わず惜しみなく与えることによって、知らず知らずのうちに、逆に多くを得ている幸せな歯科医師の姿が、その中心にあった。Prole 船越栄次(ふなこし・えいじ)1947年福岡県出身。1971年九州歯科大学卒業。1973年(米)タフツ大学大学院卒業、インディアナ大学歯学部助教授。1980年船越歯科医院開業。2009年アメリカ歯周病学会名誉会員賞受賞。健康の秘訣/毎日1万歩歩くこと■船越歯科医院 福岡県福岡市天神1-4-1 西日本新聞会館15F 2092-771-1087 http://www1.bbiq.jp/ funakoshi-shika/房楊枝や珍しい爪楊枝が並ぶ珍しい額は、開業のお祝いに川崎仁先生と鈴木文雄先生からいただいたもの。診療スペースに一歩足を踏み入れれば、あちこちから相談の声が上がり、院長はひっぱりだこ。注目の歯科医師インタビュー Star Dentist Interview11

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です