Dentalism No.6
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日本人の手先の器用さ、繊細さはピカイチだよ。ところが、欧米のトップランクは意識が違う。ミッションがあると思っているんだよね。自分が受けた最高の学問を、地域や世界の人たちに還元しなければならないという使命感がある。日本人は謙虚というか、謙遜の美徳のようなものがあって、優秀さが伝わりにくいんだよ。だから、若い人たちには、いつも「英語を覚えろ、表現もアグレッシブに」と言っている。自分が若い頃はそうでもなかったんだけど、今は、いろんな意味で日本が世界一だと思っているね。―世界で一番とは嬉しいですね。それでも、歯科医院が置かれている環境が厳しいとは皮肉です。山﨑 私が経験した40年の歯科医師人生の中でも、今が最も大変な時期といえるだろうね。歯科医師は、大きな病院で吸収されることは稀で、個人開業が中心だから、既に開業していて、ある程度の患者さんを持っている医院はともかく、今から開業する人たちは、不退転の決意がないとね。―自費率の向上を目指す動きが活発にも見えるのは、激しい競合と長引く不況の影響でしょうか。山﨑 お上に頼っていても仕方がないのは事実だけどね。保健診療だけでやっていくのは厳しいけれど、かといって自費診療のみに絞るという勇気や自信もない。そんなジレンマを抱えている人は多いだろうね。―先生が自費診療のみに移行したのはいつ頃からですか?山﨑 50歳ちょっと前ぐらいだったかなぁ。今はチェアを4台しか置いていないけど、それ以前は7台。分院もあったから、トータルで20台ぐらいで看てたかな。でも、もう年だし、患者を絞っていこうかと思ってね(笑)―近頃、インプラントバブルという言葉をよく聞きますが、どのように思われますか?山﨑 韓国で講演したときに聞いた話だけど、韓国では全歯科医師の85%がインプラントを打つらしい。トラブルも多いと聞いている。日本には10~15%ぐらいいるけれど、もちろん、なんでもかんでもインプラントでいいというわけがない。治療というのは、患者にとって公平なものでなければならないよ。入れ歯にするのか、歯を延長するのか、インプラントにするのか、患者に選択肢を与えることができないとね。お金がないからって、なんでもやるというのはいただけないね。うちの患者なんて「これはオレよりあっちの医者の方が上手いから、あっちへ行け」なんて言うと、すぐに他へ行っちゃうから(笑)でもそのほうが患者にとっても自分にとっても、実はハッピーなことなんだけどね。―美しい歯に対する意識は、今後ますます高まりそうですね。山﨑 そうだね。審美っていうのは、いいジャンルだと思うよ。歯が白く美しくなるだけで、患者さんは気持ちまで変わるんだよね、表情が違う。前回『デンタリズム』に登場していた近藤(隆一)先生や、松尾(通)先生のような審美の先達たちが、この世界でいい仕事を続けてきてくれたおかげだよね。都市部ではもう当たり前になっているけど、地方でも今後は増えてくるだろうね。―ハードな毎日を送られていますが、ストレス解消法は?山﨑 ストレスはないね! あるとすれば、仕事に始まり仕事に終わるって感じだな。いい仕事ができるとスカッとするしね。逆に、100%を目指しているのに80%とか90%しか力が出し切れなかったかな、と思うことがたまにある。それが何よりのストレス。だけど、それが「よし! この次は頑張ろう」っていうエネルギーになる。結局、この仕事が大好きなんだよね。 豪放磊落。飾らない言葉で歯科医師として誇りと、歯科医療に対する熱い思いを語ってくれた山崎先生。この道一筋の彼を慕い、共に研鑽を重ねている歯科医師が大勢いる日本の歯科医療の未来は、決して捨てたものではないはずだ。注目の歯科医師インタビュー Star Dentist InterviewProle 山﨑長郎(やまざき・まさお)1945年長野県出身。1970年東京歯科大学卒業。原宿デンタルオフィス院長。SJCDインターナショナル会長。東京SJCD最高顧問。趣味/50歳を過ぎてから始めたゴルフ■原宿デンタルオフィス 東京都渋谷区渋谷2-1-12  パシフィックスクエア4F 203-3400-9405  http://www.harajuku-dental.net治療に関する様々な知識交流の場として、技術向上の場として、勉強会や多用な用途に使用されている研修室。各デスクにマイクロスコープが設置されている。正確な骨の状態や、上下左右あらゆる確度から顎を見ることができる3Dの歯科用CTは、インプラントの術前診査や、患者の負担軽減のためにも必須。 

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